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妖女学園のこくりちゃん  作者: こんぐま
第6話 静寂のドリーム
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3時間目 クリスマス注意報(3)

 世界を股に掛ける大企業の代表取締役会長の一人娘である少女“黄金院こがねいん明媚ダイヤ”は、悪役令嬢である。


 金髪は地毛で、母親譲りな自慢の髪色。

 自慢の髪の前髪に、父親に誕プレで貰ったダイヤのヘアピンを付けている。

 顔がそこそこ可愛く、可愛いと褒められ慣れている。

 性格は嫌みったらしく、まだ7才と幼い年齢でありながら、周りを見下すくせを既に持っている。

 みっちゃんとは同級生で、成績は学年トップ。

 しかし、その学年トップの地位が、最近になっておびやかされていた。


 原因は、みっちゃんだ。

 みっちゃんは毎日のように、こくりとお勉強をしている。

 その成果もあって、実は今では学年2位。

 元々底辺では無いにしろ、中間より下くらいの成績だったみっちゃんは、努力でそこまで上りつめたのだ。

 みっちゃんに少女は焦りを見せ、図書室での事件が起きた。

 そしてそんな事件から、時間は流れて一夜が明けた。


「見つけましたわよ! 狐火きつねび狐栗こくりさん!」


 今日も元気に幼稚舎へと向かっている途中で、こくりはパツ金ダイヤに遭遇した。

 パツ金ダイヤは今日も朝から取り巻きを連れていて、こくりを見つけて早々大声を上げて指をさす。

 そして、こくりはパツ金ダイヤと目をかち合わせると、足を止めて首を傾げた。


「誰ですか?」


「黄金院明媚(ダイヤ)ですわ! 昨日はよくもわたくしに恥をかかせてくれましたわね!」


「ダイヤ様に謝りなさいよ!」


「そうよそうよ! 昨日の事を謝りなさいよ!」


 パツ金ダイヤに続いて取り巻きAとBが声を上げ、こくりは昨日の事を思いだす。


 そう。

 昨日は目つぶしして泣かせた後に、失明しちゃうかもしれないから駄目だと、先生に怒られたのだ。

 そして謝った。

 それにも関わらず、まだ気に入らないらしい。

 再びこうして現れて、謝罪を要求してくる。


 こくりは昨日の事を思い出すと、相変わらずの眠気眼な無表情の瞳を曇らせた。


「昨日のピーマンは苦かったです」


 流石はこくり。

 全然違う昨日の事を、と言うか、昨日の晩御飯のおかずを思い出していた。


「誰もピーマンの話なんてしていませんわよ!」


「でも、本当に苦かったです」


「でもじゃないですわよ! そんなのどうでもいいですわ!」


「失礼な子ね! ダイヤ様に無礼だわ!」


「そうよそうよ! 身の程をわきまえなさいよ!」


 怒るパツ金ダイヤに取り巻きAとB。

 しかし、こくりはそれでも相変わらずの眠気眼な無表情。


 そして、今更ではあるが、実は側にお狐さまがいた。

 お狐さまの姿はパツ金ダイヤと取り巻きのAとBには見えていない。

 愛する娘こくりが絡まれて、大変お怒りだった。

 と言っても、それはこくりのアイコンタクトで、つまりは目を合わせる事で制止させている。


「ちょっと、どこ見てますの!? どうせあなたがわたくしのヘアピンを盗んだのでしょう!?」


 言われて視線を向けると、昨日付けていたダイヤ付ヘアピンがない事にこくりは気づく。

 しかし、当然こくりには身に覚えが全く無い。


「ヘアピンですか? 知りません」


「嘘おっしゃい! 昨日あなたに会ってから――」


「こくりちゃーん! ごきげんよう!」


 パツ金ダイヤが怒声を上げていた所で、みっちゃんの登場。

 みっちゃんは大きな声で現れてそれをさえぎり、こくりと手をつないで走り出す。


「みっちゃん、おはようです」


 こくりはみっちゃんに手を繋がれたまま走り挨拶を返すと、みっちゃんの登場に驚いていたパツ金ダイヤに視線を向けた。


「今あのお姉さんとお話中です」


「うぇえ? お話中って感じしなかったよ~? どちらかと言うと絡まれてた」


「なにと絡まってたですか?」


「その絡まるじゃないよ」


美都子みつこの言う通りだぞ、狐栗こくり。美都子よ、よく来てくれた。あのままだったら、わしが手を出していたやもしれぬ」


「ほらあ。ダイヤさんって面倒な人だから、無視出来るなら無視が一番だよ」


「むし……むし……虫。分かったです。あのお姉さんはカナブンに似ているからカナブンちゃんです」


「か、かなぶん?」


 みっちゃんが冷や汗を流し、こくりはパツ金ダイヤをカナブンちゃんと命名して納得する。

 尚、どこがカナブンに似てるのかは、こくりのみぞ知る。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 前の話で パツ金は地毛では無く染めていて、ここ妖女ようじょ学園は校則が緩いので認められている。 とありますが、今回 金髪は地毛で、母親譲りな自慢の髪色。 となっていますがどちら…
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