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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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九百九十九 美嘉編 「格好悪いところを」

鷲崎わしざきさんのように感極まって泣く人もいれば、僕たちのようにあくまで単なる通過点として淡々と迎える人もいていいんじゃないかな。


だからといって、鷲崎さんが結人ゆうとくんの姿を見て感極まって泣いてしまったことを、僕はもちろん馬鹿にする気なんてない。彼女にとってはそれだけのものだったってことだろうから。


その一方で僕にとってはただの『通過点』に過ぎないから、何の感慨もなかったのも事実だった。


星谷ひかりたにさんも、山仁やまひとさんも、平然としてる。二人にとってもそうなんだろうな。


それに、星谷さんはそもそも千早ちゃんの親族ですらない。千早ちゃんのお母さんは、結局、最初の転校の手続きの為に学校に来た以外は、一切、近付くこともなかった。


だけど、それはむしろ、トラブルを回避する役には立った気もする。千早ちゃんのお母さんの気性だと、何かちょっとしたことで他人と衝突しかねないし。


ただ、そんなお母さんだけど、職場ではきっちりと役目を果たす優秀な看護師さんだと、星谷さんが言ってた。


千早ちゃんを保護するかどうかの判断を下すために探偵を雇って身辺調査したんだって。


すると、ちょっと気の強そうなところもあるけど、患者には丁寧に接してて、しかも仕事も確実で、勤め先での評価は決して悪くないって話だった。


人間にはいろんな一面がある。


看護師としては優秀なお母さんだけど、『母親』としては適性がなかったっていうことなんだろうな。


僕も決して自分が『父親として優秀』とは思わないから、千早ちゃんのお母さんのことは言えないんだ。


それに、千早ちゃんにとってはもう星谷さんが『お母さん』ってことですっかり馴染んでしまったみたいだ。それどころか、学校の方も、そういうことで対応してたって。


『星谷さんがお母さん代わり』ってことで。


それで行けてしまうんだから、いろいろと困ったことがあっても何とかなるもんなんだなあ。


だから諦めずにいろいろと手を尽くしてみる必要があるんだろうな。


なんてことを考えてる間にも式は進んで、千早ちゃんが壇上に上がった。星谷さんがデジカメで写真を撮ってる。僕もスマホで撮った。結人くんと沙奈子の時にも星谷さんは写真を撮ってくれてたし、僕もっていうことで。


もっとも、星谷さんのデジカメはかなり高価そうな、きっと性能もすごいんだろうなっていうカメラだから、僕がスマホで撮った写真なんて要らないかもしれないけどね。


当の千早ちゃんは、かなり緊張してたみたいだ。歩き方もいつもの感じじゃなかった。もしかしたら、星谷さんの前で格好悪いところを見せたくなかったのかもしれないな。



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