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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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九百九十一 美嘉編 「本当に後悔しないんだろうか」

三月十五日。金曜日。曇り。




自分たちが泣かせた相手である沙奈子に直接じゃなく、先に僕に謝ってきたのは、たぶん、僕が間に入って沙奈子に上手く言ってくれることを期待してるんだろうなっていうのは、正直言って感じた。


鷲崎わしざきさんがいる時に僕の前に現れたのも、万が一、僕が怒ったとしても彼女が仲裁に入ってくれるのを期待してたんだっていうのは悟れてしまった。


玲那や鷲崎さんに先に謝ってからだったのもそういうことだったんだろうなとは思う。


だけどそれでも、段階を踏んででも、今回、直接謝りに来てくれたその勇気はすごいと素直に思えた。もしかしたら僕にはできないことかもしれないし。


だからもう、沙奈子に直接謝ってもらってないことについてはもういいかなとは思えた。


きっと、いろいろ落ち着いたころに沙奈子にも謝ってもらえそうだなと感じたし。


ただ、秋嶋あきしまさんだけはもう、玲那も話もできてないらしい。


本人が、『自分は正しいことをしてる!』っていう想いがあるから引くに引けないんだろうな。


でも、正しいことをしてるなら、何をしてもいいの?。


自分が『好きだ』『守りたい』と言ってた女の子を泣かせていいの?。そんな風にしてまで成し遂げなきゃいけない『正しいこと』ってなんなの?。


僕にはまったく分からないよ。






三月十六日。土曜日。朝はなんだか結構な嵐だったのにそれが過ぎたらすっきりと晴れた。




今日ももちろん、絵里奈と玲那に会いに行く。


喜緑きみどりさんたちが謝ってくれたことで玲那は少しだけホッとした様子を見せてた。


だけど、すっきりとはいってないのも分かる。


秋嶋あきしまさんのことが気になってるんだろうな。


ただ、今回のことで少し思ってしまった。


『もしかして玲那、秋嶋さんのことが好きなのかな……?』


って。


たぶん、他の人が同じようになっても同じように気にするんだろうとは思うけど、何となく、本当に何となく、そんな風に感じてしまったんだ。


だから余計に落ち込んでるのかもって。


それが当たってるかどうかは分からないけど、もしそうなら、秋嶋さんは自分のことを好きになってくれた女性も、自分の拘りのために突き放すことになるんだな。


その拘りが本人にとってそれだけの価値があるのなら、僕が口出しすることじゃないとしても、本当にそれでよかったのかな。


玲那はすごくいい子だ。絵里奈がいなかったら…、いや、絵里奈がいなかったらそもそも玲那は僕の前には現れてなかっただろうけど、絵里奈が僕を選んでくれてなかったら、もしかしたら玲那と結婚していたかもしれないとは思うくらいにね。


そんな彼女を手放すことになったとしたら、彼は本当に後悔しないんだろうか……。



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