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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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九百七十九 美嘉編 「そこまでの覚悟があって」

二月二十七日。水曜日。晴れ。




田上たのうえさんも大学に合格して、明後日はイチコさんたちの学校の卒業式で、おめでたいはずなのに僕たちの気分は晴れやかとはいかなかった。


秋嶋あきしまさんと喜緑きみどりさんがアニメのことで揉めてるらしいから。


しかもそのことで、玲那が、秋嶋さんのことを『嫌いになりそう』とまで……。


自分にとっては大事なことだから拘りたいっていう気持ちは理解したいと思う。尊重したいと思う。だけど、だからってそれを理由に他人を攻撃するなら、距離を置くしかないんじゃないかな。


だって、相容れないのなら、『敬して遠ざける』しかないよ……。


秋嶋さんには、玲那が大変だった時に支えてもらった恩がある。それはまぎれもない事実で、そのことについてはすごく感謝してる。


でも、それとこれとは話が別だと思うんだ。


むしろ、秋嶋さんが、友達だったはずの喜緑さんに対して、


『あんなものを擁護するお前はアニメを分かってない!。お前はアニメファンじゃない!!』


と言わずにいられなかったのと同じなんじゃないかな。たとえ恩があっても、たとえ友達でも、許せないことは許せない。


秋嶋さんが自分のこだわりを取るというのなら、沙奈子や玲那のことは諦めてもらうしかない。


何かを取れば何かを失うというのは、人生においては当たり前にあることだと思う。秋嶋さんは、そこまでの覚悟でもって、


『あんなものを擁護するお前はアニメを分かってない!。お前はアニメファンじゃない!!』


という言葉を発したのかな。


もし秋嶋さんにとってそのアニメがそこまでのものなら、たとえ沙奈子や玲那の信頼を失うことになっても本望だよね。


そして玲那は告げたんだ。


「あっきー。あっきーがこれまで私や沙奈子ちゃんのためにしてくれたことにはすごく感謝してる。本当に今までありがとう。だけど、あっきーがとっくんのことを『お前はアニメファンじゃない!!』とまで言うのなら、私たちはもう、あっきーとは一緒にいられない」


それに対して秋嶋さんは、


「なんですかそれ!?。玲那さんまで裏切るんですか!?。玲那さんが事件のことで叩かれた時に、あんなに庇ってやったのに……!」


って……。


それを聞いた星谷ひかりたにさんは、


「典型的なストーカーの論理ですね。もしこれでその方がストーカーになるようでしたら、私が徹底的に対処します」


とまで。


星谷さんなら、本当にするだろうな。


『たかがアニメのことで何を大袈裟な』


と言う人もいるかもしれない。だけど、『たかがアニメ』と言うのなら、その『たかがアニメ』のことで他人を罵っていいの?。人格攻撃までしていいの?。


そんなの、僕にはまったく理解できない。だから距離を置くんだ。


そこまでの覚悟があって、他人を攻撃してるんだよね?。



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