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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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九百七十四 美嘉編 「自分を抑えておく自信が」

二月二十二日。金曜日。曇り。




世の中には、自分の指示や意見が通らなかったというだけでキレる人がたくさんいる。


僕は正直言ってそういうの、『疲れないのかなあ』って思うんだ。


自分の指示や意見が通るのが当たり前だとでも思ってるの?。


自分の指示や意見こそがいつだって正しいと思ってるの?。


自分こそが常に正しいと思ってるの?。


『そんなこと言ってるんじゃない!』


って言うかもしれないけど、だったらどうしてキレるの?。


自分を蔑ろにされたと感じるから?。


だけどそれっておかしいよね。自分の指示や意見が通らなかったからってキレるのって、相手を蔑ろにしてるってことじゃないの?。


自分は他人を蔑ろにしても許されるべきだけど、他人が自分を蔑ろにするのは許さないってことなの?。


子供に対しても同じことだと思う。


自分の言うことを子供が聞いてくれないからってキレるのは、それは子供を蔑ろにしてるってことじゃないかな。


自分の指示や意見が通らなかったからってキレる人は、もしかして、子供の頃に、自分の思い通りにならないからってキレる親の姿を見てきたからその真似をしてるの?。


沙奈子や千早ちはやちゃんや結人ゆうとくんや、たぶん、波多野さんや田上たのうえさんも、そういう親や大人の姿を何度も見てきたんだと思う。


だからすごく感情的になる、『キレる』ことがあるんじゃないかな。


普段はすごくおとなしい沙奈子にだってそういう部分はある。


児童相談所での一件がそれだ。沙奈子の場合は他人に向けなかったけど、抑えきれない感情を自分自身に対して向けた。


だけどそれも、その時はたまたまそうだっただけで、他人に向けることができなかっただけで、今後もずっと同じとは限らない。


他人に対してキレることがないって、ね。


沙奈子は元々の気性的なものなのか、表向きは他人に対して攻撃的になることはないけれど、これから成長して、自分に、他人に抵抗できるだけの、歯向かうことができるだけの力がついたと思えるようになった時にはどうなるか分からない。


僕自身がそうだ。


僕が他人に対して攻撃的じゃないのは、優しいからじゃない。単に他人に勝てる自信がないからだ。自分が非力だってことを思い知ってて、だから歯向かっても無駄だと考えてるだけなんだ。


だけど逆に、自分が他人を圧倒できるだけの力を手にしたと実感したら……?。


確実に他人を打ち負かして、反撃もされないと思えるだけの力を手にしたら……?。


途方もない権力や武力を手にしたと実感してしまったら……?。


僕は自分を抑えておく自信がないんだ。


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