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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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九百七十二 美嘉編 「親に養ってもらってるくせに」

二月十八日。月曜日。曇り。




田上たのうえさんの合格発表は次の土曜日。家を出られる条件は『大学に合格すること』って言われてるらしいけど、田上さんは、


「なんて言われたって出るから。ピカにお金を借りたって出る」


とまで言い切ってる。


だけど昨日、千早ちはやちゃんと大希ひろきくんがお昼を作りに来た時に星谷ひかりたにさんは言ってた。


「安易にお金を借りることは私はお勧めしませんし、もし融資するとなっても厳格な返済計画を立てた上でなければ私は応じません。現時点で予測されるフミの経済力では応じられないと予測します」


って。けれど続けて、


「というのは建前ですが。奨学金そのものがそもそも『借金』ですので、それと同じと考えれば融資もやぶさかではないのです。ただそれでも、安易には応じられません。


ですが、フミの覚悟は伝わってきたと思います。また、客観的に見て合格していない理由がありませんし、おそらく心配はないでしょう」


とも。


相変わらずシビアだけど、だからこそ信頼できる。


『お金持ってるんだし、友達だったら貸してあげればいいじゃん!。可哀想だろ!』


って言う人もいるかもしれないけど、ここで簡単にお金を貸してしまうようじゃ、逆にすごく不安だ。お金の貸し借りっていうのは本当に大変なことなんだよ。


正直、星谷さんに立て替えてもらった弁護費用とかの返済は決して楽じゃない。でも、星谷さんは僕たちを信頼してそうしてくれた。それに僕たちも応えなきゃいけない。


人形のドレスの販売を事業化する件にしてもそうだ。もしそれが失敗した時には自分も損害を受ける覚悟で彼女は『事業資金は全額私が融資します』と言ってくれてる。それと同時に、星谷さんにはしっかりと『ビジョン』みたいなものが見えてるんだろうな。


それだけに、星谷さんがすごく真剣に田上さんのことを考えてるのが伝わってきたんだ。






二月十九日。火曜日。雨。




何か書こうとして他のことを考えてしまってそのままになってしまってた。


こういう日もあるか。






二月二十日。水曜日。曇り時々晴れ。


今日は何だかかなり暖かかった気がする。なにしろ、仕事が終わって部屋に戻っても、ファンヒーターを点けずにいられたから。お風呂の時以外はだけど。


田上さんの件は、それこそ僕たちにはどうこうできることじゃないと思う。


なにしろ、『事件にできるようなことはほとんどない』から。


たぶん、世間的には『親として当たり前のことをしてる』と言われると思う。田上さんがこうして反発してるのだって、


『親に養ってもらってるくせに何言ってんだ!?。この恩知らずが!』


って言われるようなことだと思う。


でも、その、


『世間が常識と思うこと』


の中にこそ問題があったから、いろんな事件が起こってるんじゃないのかな。



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