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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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九百六十二 美嘉編 「現実的じゃないよ」

二月三日。日曜日。曇りのち雨。今日はあまり寒くない。




今日は節分だけど、僕たちはそういうのはしない。恵方巻も食べない。


去年はそれどころじゃなかったというのもあるけど、なんか、そんな気分にならないんだ。




それはそれとして、世の中には本当に些細な理由で他人を攻撃する人が溢れてる。


他人のちょっとしたマナー違反だったり、見たドラマやアニメが気に入らなかったり、芸能人の何気ない発言とかっていうのを理由にして、それこそ『親の仇』みたいに攻撃する。


どうしてそこまでしなくちゃいけないんだろう?。


しかもそれを『批判』とか『批評』とか称して自分を正当化してる。


ただの『批判』や『批評』なら、罵詈雑言や誹謗中傷や人格攻撃なんて必要ないはずなのに、まるでそういう形でないと批判や批評にならないとでも思い込んでるみたいに罵るんだ。


そういう人がどうしてそんなことをするのか、波多野さんや田上たのうえさんには分かる気がするって。


「要するにただの『憂さ晴らし』なんだよ。理由も相手もなんだっていいんだ。ただ一方的に罵って発散したいだけだと思う」


「だよね。私の弟がやってたのも結局はそれ。攻撃しやすい相手を攻撃して憂さ晴らしがしたいだっていうさ。立場的に強く出られない、自分のところに直接怒鳴り込んでこない相手を選んでやってるんだ。


本当に自分の意見に責任もって個人を批判とかしたいんだったら、本人の目の前でやるべきなのにさ」


二人の言いたいことは、僕にも分かる気がする。






二月四日。月曜日。曇り時々雨。


今日は昨日よりももう一つ寒くなかった。何やら今年の冬は総じてそんなに寒くなかったみたいだ。




僕は、誰か特定の個人を攻撃したいとは思わない。


僕が批判的なことを言う時は、あくまで『行為』に対しての批判なんだ。


玲那の実のお父さんの話や、千早ちはやちゃんのお母さんやお姉さんの話や、館雀かんざくさんの話をする時も、本人を罵りたいわけじゃない。どこまでも、


『どうしてそんなことをしなくちゃいけなかったの?』


って疑問が抑えきれないだけなんだ。


それに、批判したいのは『行為』だけ。誰かを傷付けたり苦しめたりするようなことをしなかったら、本人がどんな人でどんなことを考えてても僕はどうでもいいと思ってる。


攻撃なんてしたくない。


玲那のことを滅茶苦茶に攻撃した人たちのことは今でも許してないけど、許されるのなら一人一人に『復讐』してやりたいけど、そういう自分の感情とは別に、特定の個人を攻撃するっていうのは違うとも思うんだ。


だってそんなことをしてたら、何千何万って人に復讐しないといけなくなるし、ね。


現実的じゃないよ。



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