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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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九百五十三 美嘉編 「他人の家庭に口出しするのが」

一月二十二日。火曜日。曇り。




自分で自分の人生を生きていこうとする子供に頭ごなしに口出しして自分の思い通りに操ろうとする親。


そういうのを今では『毒親』とか言うらしいね。


だけどそうやって他人を見下すための言葉をわざわざつくるのってどうなんだろうって思う。他人を蔑む言葉を次々と作り出すような世の中は、生きやすい世の中なのかな。


結局自分も、他人が作ったそういう言葉で嫌な思いをすることになるだけなんじゃないかな。


だから僕は、『上手くできない親』を攻撃したいわけじゃないんだ。あくまでそこから重要なことを学び取って役立てていきたいと思うだけで。


それに、僕の両親も、田上たのうえさんの御両親も、自分の子供からの信頼を失うって形で報いはもう受けているからね。


僕がもし、沙奈子から軽蔑されたり疎まれたりしたらって思うと、それだけでゾッとする。いたたまれない。僕にとってはとんでもない『罰』だよ。


そういうのを気にしないような親だと罰にならなかったりするかもしれないけど、例えば将来、それこそ自分が年老いてから子供に疎まれたり見捨てられたりって形で返ってくるかもしれないよね。


実際にそういう話はたくさんあるみたいじゃないか。


親を施設に預けたきりで、ううん、施設に預けるならまだマシで、自分のことも満足にできなくなってきた親を放っておくなんてこともよく聞く話だよね。


子供の方は心配してくれてて力になろうとしてくれてるけど親自身が遠慮してるっていうのはそういうのに当たらないと思うけど、本気で、


『さっさと死んでくれないかな』


みたいに思ってるっていうのもあるんじゃないかな。自分の子供にそんな風に思われるなんて、『地獄』だって気がする。


それが『報い』なんじゃないかなって気がするんだ。


そうやって報いを受けてるのにそこにさらに追い打ちをかける必要はないと思うんだ。


田上さんの御両親についても、


『とんでもない親だ!』


って詰るつもりもない。赤の他人の僕がそこまで口出しするのも違うんじゃないかなって。


そしてそれもまた、星谷さんも同じ考えらしい。彼女なら例えば田上さんの御両親に対して直接働きかけることだってできると思うのに、そこまではしないんだ。あくまで田上さんが自分の力で生きていこうとしてるのを手助けするだけで。


千早ちはやちゃんの場合でも、『お小遣いを盗んだって言って暴力を振るったお姉さん』の件ではさすがに直接干渉しても、それ以上のことはしなかったし。


星谷さんは、こうも言ってた。


「他人の家庭に口出しするのが正しいとは私も思いません。他人には分からないこともあるでしょうから。それに、フミが自らの力で自身の境遇を変えていくことに意味があると思うのです」



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