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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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九百五十 美嘉編 「そういう人たちの真似を」

一月十八日。金曜日。曇りのち雨。




『私は、ヒロ坊くんの前で恥ずかしい大人になりたくありません』


今、星谷ひかりたにさんの一番の柱になってるのはその想いなんだろうな。


そしてそれは、僕も同じ。僕も、沙奈子に顔向けできないような大人にはなりたくないと思ってる。


『恥ずかしい大人』


『子供に顔向けできない大人』


っていうのは、だらしないところがあるとか、上手にできないところがあるとか、そういう意味じゃないんだ。


普段からビシッと格好よく決められてて、家の中でもだらしないところを見せない『完璧な人』っていう意味じゃない。僕はそんな人にはなれない。


ただ、自分の失敗や間違いを嘘で誤魔化して偉そうにしてる大人にはなりたくないんだ。


本当に些細な理由で他人を攻撃して憂さを晴らそうとするような大人にはなりたくないんだ。


自分より間違いなく弱い相手を力尽くで押さえ付けて『自分の方が立場が上だ』って言う大人にはなりたくないんだ。


『権利』って言葉を振りかざして自分の権利は主張するのに他人の権利は認めない大人にはなりたくないんだ。


そう言えば、最近、自分の権利ばかりを主張する人が増えたっていう話を聞く。


確かに、ネットとかで他人の悪口や誹謗中傷を書き連ねて、それを批判されると、


『言論弾圧だ!』


『言論の自由の侵害だ!』


『表現の自由の侵害だ!』


とか言う人がいるって。


自分は他人の『人格権』とか『平穏に暮らす権利』とかを侵害しておいてそれを棚に上げて、自分の権利ばかりを主張するんだ。


大人がそんなことをしてたら、子供だって真似するよね。


なんだか、『子供の権利』っていうのをやたらと振りかざす子供がいるなんていう話も聞く。


だけど、自分が子供を育てる立場になってみてすごくよく分かった。子供のすることはほとんどが周りの人の『真似』なんだって。


その子の身近な大人がそんなことを普段から言ってるとか、その子が普段からネットとかをよく見てて、他人の権利は無視するのに自分の権利は声高に主張する人達を見て、その真似をしてるんだと思う。


もっとも、僕は『子供の権利』って言葉を振りかざして自分ばっかり優遇されようとしてる子供なんて、実際には見たことがないからそんな子供が本当にいるのか分からないけど。


少なくとも、沙奈子の周りでは見たことない。


そんな子供、本当にいるの?。


もしかしたらいるのかもしれないけど、世の中にはいろんな人がいるからいたとしても別に驚かないけど、たくさんいるって実感はまったくないな。


ただ、ネットとかで、自分は『言論の自由』『表現の自由』という権利を主張しながら、他人の権利は認めない人ならたくさん見てきたけどね。


そういう人たちの真似を子供がしてても、別に驚くようなことじゃない気がする。



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