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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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九百三十七 美嘉編 「条件が無理難題すぎて」

一月五日。土曜日。曇り時々雨。




昨日は、仕事始めだったから僕だけ朝一で旅館を後にしたけど、みんなは夕方までゆっくりしたって。


「いや~、ピカの百面相は面白かったですな♡」


朝食の時に玲那はそう言ってご機嫌だった。


大希ひろきくんを除けば唯一の男だった僕がいなくなったことで余計にリラックスできたのか、星谷ひかりたにさんの表情がさらに柔らかくなって、いろんな表情を見せてたらしい。


元々、僕たち家族と星谷さんたちは別の部屋を借りてたんだけど、もう自由に行き来してたからね。


正直、僕はある意味では『異物』だったかもしれない。


もちろんみんなは僕を邪魔者扱いとかしてなかったけど、さすがに女の子だけの時ほどは油断もできなかったのは事実だと思う。


「お父さんが仕事に行ってからのピカってば、それこそヒロ坊にべったりでさ。デレッデレ♡


一応、いつも通りにクールを装ってるんだけど、目元も口元も緩みっぱなしなのはバレバレ」


玲那がそう言うと、絵里奈も、


「確かに、普段の彼女からは想像もつかないくらいに、『恋する女の子の表情』でしたね。すごくきれいだったと思います」


だって。


さらに玲那が続ける。


「ヒロ坊にかいがいしく尽くしててねえ。絵里奈も顔負けだったんだよ。


勉強もできて美人で、しかも好きな人の前では可愛い系の女の子の姿も見せられる。こんな完璧超人相手に『恋のライバル』しなきゃならない子が将来出てくるかと思うと、いやはや同情しちゃうね」


肩を竦めながら「やれやれ」と首を振る玲那に、絵里奈はちょっと苦笑いだ。それでも、


「だけど確かにそうかもね。大希くんは、あまり目立つタイプじゃないかもしれないけどすごく優しくて、彼のことを好きになる女の子はきっとこれからも出てくるでしょうね。


でも、そのコは星谷さんをライバルとして望まなくちゃいけない。


正直、女性としては同情するしかないって気持ちです」


と同調する。


だけど、僕は男だけど、言いたいことは何となく分かる気もした。


「うん。想像しただけでも僕もなんだかしんどくなった。


綺麗とか美人とか、そういうのはまだ好みもあるだろうけど、星谷さんは見た目だけじゃなく、能力だけじゃなく、心根が優しいから、それで彼女を相手に大希くんをなんて、考えるだけで辛いよ」


「無理ゲーすぎだよね」


玲那は時々、僕に分からない単語を使うけど、この時のはすぐにピンときた。『条件が無理難題すぎてクリアできる気がしないゲーム』ってことなんだろうな。


それがあんまりにも当てはまり過ぎてて、僕も笑うしかなかったのだった。



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