表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
930/2601

九百三十 美嘉編 「私もそうなりたい」

僕は神仏は信じてない。だってそんなものがいるのなら、沙奈子や玲那や結人ゆうとくんみたいな人がいるはずないと思うから。


でも、だからと言って初詣とかに行く人を馬鹿にするつもりもないんだ。


なんて、本音を言えば、昔は馬鹿にしてた時期もあったけどね。


『神様に頼るとか、馬鹿馬鹿しい…!』


って。


だけど今は、少し考え方が変わってきてる。


こうやって神社とかに参って願掛けをするのは、神様を頼るんじゃなくて、実は自分自身に、


『願いを実現できるように頑張るぞ』


と暗示をかけるためにすることなんじゃないかって考えられるようになったんだ。


だとしたら、馬鹿にするのなんておかしいよね。本人が頑張るために自分に言い聞かせようとしてるのをさ。


一体、何の権利があって、どんな合理的な理由があって、僕は神社に参拝する人を馬鹿にしてたんだろう…?。


自分でももうまったく分からない。


合理的な理由なんて欠片もない、ただただ他人を馬鹿にすることで、


『自分の方がマシだ』


って思いたかっただけだろうな。そんな昔の自分が本当に情けない。


もし、僕がその頃の僕のままだったら、沙奈子もこんなに信頼してくれてなかった気がする。


何より、僕自身が昔の僕を信頼できない。


自分が信頼できない自分を、誰かに信頼してもらおうなんて、有り得ない。


そんなことも参拝の列に並びながら思いつつ、ようやく順番が来て、


『今年も、沙奈子や絵里奈や玲那に必要とされる僕であり続けられるように努力します』


と祈願した。他でもない僕自身に言い聞かせるために。


すると、僕や沙奈子の前に参拝を終えていた星谷ひかりたにさんが、僕たちの隣に立った時、


「私は、ヒロ坊くんや千早ちはやを大切にできる私でありたいと願いました。それが、神仏を信じていない私がこうして初詣に来た理由です。私は、私自身に誓うためにここに来たのです」


と、僕たちに話しかけるというよりは、独り言みたいにして言ったんだ。


それは、僕が初詣に来た理由とほとんど同じものだと感じた。


「分かるよ。私も同じ」


イヤホンからは、玲那の言葉。


星谷さんも同じようにスマホに繋いだイヤホンをしてたから聞こえたと思う。


「私は皆さんから力をいただいているんです。山下さんの家庭は、ヒロ坊くんの家庭に並んで私にとっての理想なんです。


山下さんと絵里奈さんは、どちらかが一方的に相手に依存するのではなく、互いに自分にできる形で支え合っていらっしゃる。そして玲那さんと沙奈子さんも、ただ守られるばかりではなく、やはり自分にできることで家庭を作り上げていらっしゃる。


私もそうなりたい……」


イチコさんと一緒に歩く大希くんを見ながらそう語る星谷さんからは、すごく強い決意が伝わってきたのだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ