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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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九百二十二 美嘉編 「今年もいろいろあったなあ」

十二月二十八日。金曜日。晴れのち雪。


朝はすごく気持ちいいくらいに晴れてたのが、昼過ぎくらいから曇りだして、三時頃から雪になった。




今日は仕事納め。本来なら明日がそうなんだけど、土曜日だからね。今年は今日が仕事納めってことになる。実はそのせいもあって、スケジュールがタイトだったみたいだ。


でもそれも、みんな頑張ったおかげもあって昨日までには概ねケリがつけられてて、今日のところは最後の確認作業を行った感じかな。


「うふふふ、うふふ…う~ふふふふふ……」


洲律すりつさんが、いつも以上に気合の入ったふりふりドレスでそんな風に一人笑ってたもんだから、僕はちょっと怖かった。やっと仕事が終えられたことに彼女なりに喜んでいるらしい。


だけど、そんなのはいつものことみたいで、誰も気にしてる様子はなかった。


なんてこともありつつ、定時には、


「お疲れ様でした。今年も皆さんのおかげで無事仕事を終えることができました。新年もまたよろしくお願いします」


と課長さんの挨拶で締め括って、帰ることができたんだ。


「良いお年を~。来年も沙奈子ちゃんのドレス、楽しみにしてます~♡」


洲律さんにそんな風に見送られて、僕は、


「良いお年を」


と返すのが精一杯だったりもしたけどね。




それからいつものように自転車をアパートの駐輪場に止めてから歩いて山仁さんのところまで沙奈子を迎えに行く。


はらはらと雪が舞う中、何とも言えない気分があった。


『今年もいろいろあったなあ……。特に結人くんのこととか……』


そんなことも考えてしまう。


でも、なんとか鷲崎わしざきさんと結人くんの関係が、少しとはいえ進むことができたのは本当に良かったな。


それを噛み締めている間にも、山仁さんの家に着いた。


「おかえりなさい!」


「おかえり~♡」


「おかえりなさい」


相変わらずの朗らかさで、大希ひろきくんと千早ちはやちゃんが出迎えてくれて、沙奈子は落ち着いた感じで出迎えてくれた。それがまたホッとする。


『帰って来たなあ』


って感じがするんだ。


だけど沙奈子にはもう少し待っててもらって、僕は先に二階に上がった。そこでも、


「おかえりなさい」


と、山仁さん、イチコさん、星谷ひかりたにさん、波多野さん、田上たのうえさんに出迎えてもらえた。


それにもやっぱりホッとして、気持ちが楽になる。家族って感じがする。


「無事に仕事納めを迎えられました」


僕の報告に、山仁さんが、


「お疲れ様でした」


って労ってくれた。


そこにさらに、


「お疲れ様でした」


と、星谷さんが。


すると彼女は、続けて、


「結人くんの様子はどうでしょうか?」


とも聞いてくる。


星谷さんも結人くんのことは気に掛けてくれてて、


「もし私で力になれることがあれば、いつでもおっしゃってください」


と言ってくれてたんだ。だから、


「はい、すごく落ち着いてる感じだと思います」


って正直に答えさせたもらったのだった。



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