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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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九百五 結人編 「起こる時には起こってしまうんだ」

十二月十七日。月曜日。曇りのち晴れ。時々雨。




今週は、沙奈子の学校で個人懇談がある。それについては、絵里奈が行ってくれることになってる。そして金曜日には終業式だ。


学校には僕たちの事情については、今の担任の先生にはあまり詳しくは話してない。どこから漏れるか分からないから。


『事情があって、妻とは別居してますが、家族仲は良好です』


とは伝えてあるけど。


フィクションにありがちな学校側からの詮索はない。ここでそういうのがないと話が盛り上がらないとかいうのは僕たちには関係ない。


現実は確かに辛いことも多いけど、実はタイミングよく何か起こるってこともそうそうないんだ。『フラグ』とか呼ばれるものも、後から思えば『あれがフラグだった?』って思うようなことはあるかもしれなくても、そういうのはついつい無関係な事象を結び付けて考えたがる人間の『癖』のようなものであって、実際にはまったく影響を及ぼすことはないんだろうな。


だって、これまでだって『フラグ』と言われるようなことは何度もあったはずなのに、特に沙奈子が来てからまだ間もない頃には散々それっぽいことを言ってたはずなのに、そんなに頻繁に何かが起こってたわけじゃないし。


児童相談所でのことや、玲那の事件だって、なるほどフラグっぽいことを口にしてたりしたかもしれないけどさ。


だから僕は、誰かがフラグっぽいことを口にしたって気にしない。そんなことに怯えるんじゃなくて、普段から気を付けるようにしたいんだ。


そこまで気を付けてても事件や事故には巻き込まれるのかもしれない。でもだからって注意も払わないでいたんじゃ、それこそ危険性が増すだけじゃないかな。


僕はいつも、事件や事故に巻き込まれたりしないかなってことを心配してる。


『ずっとそんなことをしてて疲れないか?』


って言われたりもするだろうけど、これは僕の『性分』だから、他人が思ってるみたいには疲れないんだ。


それにこれは、辛いことや苦しいことを回避するためにやってることだしね。


もちろん、気にし過ぎてその時点で辛くなってたら意味ないけど、僕は割とそういうの平気なんだ。こうやって四六時中あれこれ考えてるのって、僕にとっては『呼吸』と同じ。


文字通り『息をするように』考え事ができるんだ。


だけど世の中には、そうやって延々と考え事するのが苦手って人もいるみたいだね。僕の周りでは、鷲崎わしざきさん、波多野さん、田上たのうえさん、千早ちはやちゃんが、どちらかと言うとそれっぽいのか。


それでも、彼女たちも、自分が幸せになるためにはどうすればいいのかってことを、今ではすごく考えているんだって。




だけど、この後、


『どんなに気を付けていても起こる時には起こってしまうんだ』


っていうのを、僕は改めて思い知らされたのだった。



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