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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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八百八十七 結人編 「あらかじめバラしておくけど」

十一月二十八日。水曜日。朝から雨。




もう、あらかじめバラしておくけど、実は結人ゆうとくんはこの後、クリスマスを直前に迎えたある日、ちょっとした『事件』を起こすんだ。


結果としては沙奈子が擦り傷と軽い打ち身。結人くんが擦り傷と打撲で済んだから、そんなに大事おおごとにはならなかったけどね。


それについて、


『事件はあらかじめ防ぐのが肝心とか偉そうなこと言ってて結局それかよ!』


みたいに言う人がきっといると思う。僕も、未然に防げなかったのはすごく残念だ。反省しなきゃいけないって思ってる。


だけど、客観的に考えてみて、彼が抱えてるものの大きさや不穏さからすると、その程度で済んだのはむしろ幸運だったんじゃないかって気もするんだ。


そして彼は、その『事件』をきっかけにものすごい変化を遂げる。それこそ『生まれ変わった』レベルでね。


と言っても、彼のことをよく知らない人からすれば何が変わったのか分からないかもしれないけど。


それでも、僕や鷲崎わしざきさんから見れば、本当に劇的な変化だったんだ。


いわゆる、


『憑き物が落ちた』


って感じかな。愛想が悪いのは変わらなくても、刺々しくて攻撃的な気配はなくなっていったんだ。


僕たちにとっては、もうこれ以上の『大成功』はないと思う。一番望んでた結果が得られたと言ってもいいんじゃないかな。


それに繋がっていったのは、僕たちが彼の信頼を勝ち取っていったからだって気もするんだ。だから彼は、素直に僕たちに甘えられるようになったんだと思う。あくまで、彼にとっての『素直に』だけどさ。




こういうのって、確か『ネタバレ』って言うんだよね。玲那から聞いた話だと、それをした人の人格そのものまで徹底的に否定されるくらいに嫌われる行為なんだとか。


だけど僕は、『ネタバレされた』っていうだけでそこまで他人を攻撃するような人とは関わりたくないと思ってる。


だって、別に命の危険にまで曝されたわけでもない行為に対してそこまでの攻撃性を見せるような人は、他にどんな理由で攻撃的になるか分からないから。ネタバレされただけで相手の人格まで否定するっていうことは、その人にとってもっと何か気に入らないことをすれば、それこそ命まで狙ってきかねない気がするから。


『ネタバレ』が他人を不快にさせるマナーに反する行為だから怒ってるんだとすれば、『相手の人格まで否定するような悪態を吐く』なんていうマナー違反をするのはおかしいんじゃないかな。


他人がマナー違反するのは許せないけど、自分がマナー違反するのはいいの?。


こう言うと、今回の僕の『ネタバレ』について、


『先にマナー違反したのはお前だろ!』


って言う人もきっといると思う。


確かにそうかもしれない。これはあくまで僕自身の『想い』を綴ってるだけのものだからそれをどう描くかはあくまで僕に権限があるはずだけど、そんなことは無視して『許せない』って考える人もいるんだろうな。


でも、だからこそ僕は、結人くんに対して偉そうにできないんだ。僕自身が決して完璧な人間じゃないからね。



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