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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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八百六十三 結人編 「恋しちゃってるようでござる」

十一月五日。月曜日。曇り時々晴れ。




さすがに朝晩は寒くなってきたから、コタツを用意した。と言っても、テーブル代わりに使ってたコタツにコタツ布団を掛けて電源を繋いだだけなんだけど。


お風呂からあがった時に寒いので、ファンヒーターも用意する。


「コタツはやっぱりいいですよね~♡」


夕食時、鷲崎わしざきさんが溶けそうな表情になりながらしみじみと声を漏らした。


「うちもコタツ出さなきゃ」


昨日のお昼に千早ちはやちゃんたちと一緒に沙奈子が作ったカレーを食べながら結人ゆうとくんを見る。でも結人くんの方はそれを無視するみたいに視線を逸らして黙々とカレーを食べてた。


それには構わず、鷲崎さんは僕の方に向き直り、


「そういえば最近、また喜緑きみどりさんと一緒に夜間パトロールに出たんです。喜緑さんって、ちょっと頼りない感じだけど、真面目でいい人ですよね」


って笑顔で言った。その表情は、社交辞令とかのそれじゃなく、本気でそう思ってる時のものだと思った。


喜緑さん。このアパートの十号室の住人で、秋嶋あきしまさんの友達で、沙奈子のファンの一人。


玲那が秋嶋さんから、


「喜緑氏が鷲崎殿に恋しちゃってるようでござる」(原文ママ)


と相談を受けて、鷲崎さんに、


「とっくん、織姫に恋しちゃってるそうだよ」


的に鷲崎さんに告げたことで、彼女も意識し始めてたらしかった。


とは言え、もちろん最初は、


「気持ちは嬉しいんですけど、私は先輩のことが…」


って感じで戸惑ってたのもあったと思う。だけどそれはその時点では彼のことをよく知らなかったからであって、アニメ好きだからとか沙奈子のファンだから敬遠してるとかいうのじゃなかった。彼女はそんな理由で人を嫌ったりはしない。


そんな彼女に対して喜緑さんは、顔を合わせる度に挨拶をしたり、夜間パトロールを何度も一緒にしたりして言葉を交わして、少しずつ親しくなっていったんだ。


不器用だけど、決して要領は良くないけど、見た目にも決して格好良くないけど、玲那との約束、


『沙奈子ちゃんに直接干渉せずに見守る』


をしっかりと守ってくれてるんだから、根は真面目で誠実な人なのは間違いないと思う。そして鷲崎さんは、そういう真面目で誠実な人が似合ってると思う。それに彼女は、すごく素直で人がいいから、嘘が得意で他人を騙すことに躊躇がない人は相性最悪だと思うんだ。いいように利用されるって言うか。


だから生真面目なくらいの人でないと不幸になる予感しかしない。


どちらもお人好しなカップルとかって揃って悪い人に騙されそうな予感もあるけど、そういう部分は周りの人間が補えばいいんじゃないかな。



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