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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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八百五十二 結人編 「そんな風に言う必要が」

十月二十五日。木曜日。爽やかって言ってもいいかもしれない秋晴れ。




正直って僕も『学校』というものを馬鹿にしてたのは事実だ。僕が通ってた学校は確かにイジメを見て見ぬフリする学校だったから。


だけど今では、『学校』すべてを一括りにして避難しようとは思わない。沙奈子が通ってるような学校もあるんだっていうのを知ったから。


そういう事実を知った上で『学校なんてロクなものじゃない』なんて言うとしたら、それは『言いがかり』以外の何ものでもないとは思うし、そんなことをしてる僕の姿を沙奈子には見せたくない。そんな僕の姿を真似た沙奈子が、


『学校なんてロクなものじゃない!』


とか口にするのなんて見たくないんだ。


結人ゆうとくんもそうだけど、口の悪い子供って確かにいるけど、そういう子供について大人たちは、


『テレビの影響だ!』とか、


『マンガの影響だ!』とか、


そういうものの責任にするけど、本当にそうなのかな…?。


まったく影響がないわけじゃないにしても、それが全てってわけじゃない気がする。


それよりはやっぱり、身近な大人の何気ない言葉遣いが、特に、他人を攻撃する時の強いそれが、子供にとっては印象的に残って、真似する気がするんだ。テレビとかマンガとかを見て受ける影響は、


『テレビでも同じようなこと言ってる!』


『マンガでも同じようなこと言ってる!』


っていう感じで、自分が実際に見た身近な大人の言葉遣いがテレビやマンガでも出てくるくらい『当たり前のこと』なんだっていう形で裏付けされてしまう感じじゃないのかなって、大希ひろきくんを見てて思った。


山仁やまひとさんは、普段、他人を攻撃するようなことは口にしない人なんだって。そして、もし、そういうことを口にしてしまった時には、それは良くないことだと反省するところを見せるんだって。


だからか、大希くんは強く他人を攻撃するような言い方はしないんだ。ネットに上げられている動画や、アニメや、テレビのバラエティー番組も好きでよく見てるのに、そこで使われてる口調を真似て他人を攻撃したりしない。


時々、千早ちゃん相手にふざけて汚い言葉を使ったりすることはあっても、それはお互いに分かってて『ネタとして』使ってるっていうのが見てて分かった。


そう、あくまで『普段から人に対して使うものじゃない』っていうのを理解してる気がする。


しかも、しょっちゅうは使わないし、他の相手、例えば沙奈子や星谷ひかりたにさんや僕に対しては使わないんだ。


その辺りが、結人くんとは根本的に違う。


結人くんは、本人が必要だと思ったら相手を選ばず攻撃的な言葉遣いをする。罵ったりというのも平気でするらしい。


でも僕は、最初に頃こそボソッと『ウゼェ…』みたいなことを言われたことはあったけど、最近ではそれもなくなってきてる感じかな。


そんな風に言う必要がなくなってきてるんだろうな。



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