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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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八百五十一 結人編 「やれることはやってた!」

十月二十四日。水曜日。まあまあいい天気。




子供たちの間で起こってる問題の具体的な解決方法のヒントも出さず、取り返しのつかないことにならないように見守ることもせず、それでいて取り返しのつかないことになってから、


「イジメがあったとは気付きませんでした」


なんて、それが『大人の側の甘え』でなくて何なんだろう?って思う。


沙奈子と千早ちはやちゃんのことも、僕が『イジメとかじゃないですか?』的なことを問い合わせただけで、学校は対処してくれた。すごく丁寧に。だから今の沙奈子と千早ちゃんの関係があるんだと思う。


もちろんその時には、僕も沙奈子のことをしっかり見てあの子の気持ちや言葉に耳を傾けて心を守るように心掛けたっていうのもあるとは思う。


それに加えて、千早ちゃんが抱えてる問題について星谷ひかりたにさんがすごく丁寧に動いてくれたっていうのもあると思う。


そういう、学校や、子供の周囲の大人や年長者がそれぞれ協力し合ったことで、取り返しのつかないことになるどころかお互いにとってお互いがかけがえのない友達になれる結果に繋がったんじゃないのかな。


あの時、千早ちゃんは、千早ちゃんなりに自分の問題を解決しようとしてたはずなんだ。


だけどそれは、沙奈子どころか大希ひろきくんも、そして千早ちゃん自身も傷付けることになるようなものだった。


だから、『そんなやり方を続けていると、取り返しのつかないことになるよ』って、担任の先生や、学年主任の先生や、教頭先生や、校長先生までが協力し合って連携して千早ちゃんに教えてくれたんだ。


沙奈子の学校がそこまでしてくれたから、僕は、それまで自分が『学校』というものに対して抱いてたマイナスイメージを解消することもできた。


僕が通ってた学校は、それこそ、


『お前らの揉め事はお前らで何とかしろ、面倒臭い』


っていう教師とかの本音が子供心にも察せられてしまうほどに露骨な態度だった。それをいいことに、攻撃的な子供はどんどんそれを増長させていったんだっていうのがすごく伝わってくる気がする。


『そんなやり方を続けていると、取り返しのつかないことになるよ』


とは教えてあげてなかった。口先だけで上辺だけで、『指導はしてますよ』っていうアリバイ作りをしたいだけみたいなのが見え見えな、やる気のない対応しかしていなかったという印象しかない。


『やれることはやってた!』


と当時の学校関係者は言うかもしれないけど、子供の目から、しかも直接イジメを受けてたわけじゃない、傍観者の立場だった子供の頃の僕にそう見えてしまったこと自体が失策っていうものなんじゃないのかな。



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