八百四十九 結人編 「別に普段から攻撃的でいなくても」
十月二十二日。月曜日。曇り時々雨。本当に好天が続かない。しかも夕方からは本格的に降り出した。
いわゆる誰か芸能人とか有名人とかの<ファン>って呼ばれる人たちのことを馬鹿にするつもりはないんだ。そう言っても信じてもらえないだろうし聞く耳もたない人はいるだろうけど、僕自身には馬鹿にする意図は本当にない。
ただ、そういうことも、僕が言ってた『信頼してない人の言うことは聞けない』っていう話を裏付けすることにもなるだろうけど。僕の言ってることを信じられないという人は、『話を聞くに値しない』って思ってる人は、それが何故かっていうのをよく考えてみたらいいんじゃないかな。僕のことが信頼できてるかどうかってのを。
なんて、こういうのも『何を偉そうに!』って思う人もいそうだな。いや、きっといる。
僕がいくら『押し付ける気はない』って言ってても、『押し付けだ!』って感じる人もいるんじゃないかな。
そういう感覚自体が、人それぞれだもんな。
だから『押し付けてる気はない』とは言うけど、『だから押し付けてると思うのはやめろ』とは言わないようにしようと思う。だってそれを言ったら、その言葉そのものが押し付けになるから。
勝手にそう受け取る人とは関わらないようにするのは一番だって思ってる。その人はそんな風に思わないといられない何か理由があるんだろう。結人くんにとっての鷲崎さんのような人と出逢えなかったことで攻撃的でないといられなかったんだろうなって気がする。
いつまでも攻撃的な人って、何を思ってそれを続けてるんだろう。
世間では、他人に対して攻撃的でイキがってる人のことを『DQN』とか呼んで馬鹿にしてる人が多いよね。それなのに自分も他人に対して攻撃的でイキがるってどうなんだろう?。
自分のことは自分では見えないってことなのかな。
それとも、油断しないようにしてるとかってことなのかな。
だけど、油断しないことと、普段から他人に対して攻撃的なのとは違うよね。
油断しないっていうだけなら、僕も基本的には他人を信用してないから、何か言われてもすぐにそれを鵜呑みにはしないし、危うく自動車に撥ねられそうになってからは、たとえ青信号でも安全を確認してからでないと渡らないようにしてる。
それに何より、いつだって何か事件や事故に巻き込まれるんじゃないかって考えてるし、災害の被害に遭うんじゃないかって考えて、避難袋も用意して、非常食と水もずっと確保してる。いざという時に食べられなかったり飲めなかったりしたら困るから、普段のストック兼非常用という形にもしてるし。
うん。別に普段から攻撃的でいなくても油断せずにはいられると思うんだ。




