八百四十八 結人編 「良いところも悪いところも」
十月二十一日。日曜日。今日は割と天気は良かった。
昨日の絵里奈と玲那の誕生日パーティーは、本気で楽しかった。地震があったり大雨があったり台風があったりしてどうしても手放しで楽しめない状況が続いたりもしたけど、何とか無事に過ごせて本当に良かった。
これからももしかしたら事件や事故や災害に巻き込まれることがあったりするかもしれないけど、僕たちはそれもみんなで支え合って乗り切っていこうって思える。
世の中には、僕たちみたいな生き方を馬鹿にする人も多いと思う。
『お花畑だ!』とか言う人も多いと思う。
だけどそういう人は、そんな風に他人を馬鹿にして不快にさせて、一体、何がしたいんだろう?。それで何を得られると思ってるんだろう?。
僕だって正直、そんな人のことは助けたいと思えない。そんなことをしてる人が困ってたって、力になりたいとは思えない。
もっとも、そういう人は、
『お前の助けなんて要らねーよ!』
とかも思ってそうだな。
助けが要らないというのなら、もし、知り合いだったとしても助けないように、余計な真似はしないようにしなくちゃいけないな。
僕は確かに弱っちくて何の力もない、モブみたいな存在だ。だから僕達のことを馬鹿にして『助けなんて要らない』と言ってる人まで助けられる力はない。そういう人と沙奈子や絵里奈や玲那や鷲崎さんが助けを求めてたら、間違いなく沙奈子たちを選ぶ。僕たちのことを馬鹿にしてた人のことはきっと見捨てる。
優先順位は、間違えたくない。
普段から他人を馬鹿にしてる人たちには、本当に困った時に、他の人のことは見捨ててでも助けてくれるっていう人は、周りにいるのかな。
少なくとも僕はそんな人とは普段でさえ関わりたくないんだけど……。
今の結人くんもきっと、他の人は見捨てることになっても彼を助けたい。って思ってくれる人は決して多くないだろうな。それが現実って気もする。
たぶん、今の彼を助けようと思えるのは、鷲崎さんと僕たちと、ぎりぎり星谷さんまでくらいだろうな。
彼のファンだっていう子たちは、子供だから逆にまだ助けられる側だし。
それに、『なんか思ってたのと違った』って理由で彼のファンを辞める子もたくさんいたって言うし、ファンってやっぱり移り気なんだなって思ってしまった。
考えてみたら当然か。その人の一面だけを見て『好き』って思ってるわけだから、それが自分の自分の好みから外れてるって感じれば冷めて当然なんだ。
相手の良いところも悪いところも分かった上で『それでも好きだ』っていうのとは違うからね。




