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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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八百三十 結人編 「そっくりな親子だ」

十月七日。日曜日。昨日はすごく蒸し暑かったのに、今日はそれほどでもなかった。朝早くまで降ってた雨も、僕たちが起きることにはやんでたみたいだ。




僕は、少なくとも僕が『この人の話には耳を傾けたい』と思った相手の言葉には耳を傾けるようにしたいと思う。沙奈子、絵里奈、玲那、鷲崎わしざきさん、結人ゆうとくん、星谷ひかりたにさん、千早ちはやちゃん、山仁やまひとさん、イチコさん、大希ひろきくん、波多野さん、田上たのうえさんはもちろん、塚崎つかざきさんや沙奈子の学校の先生や、今の会社の人たちもそうかな。


本当は誰に対してもそうできればいいんだけど、僕の器は決して大きくない。だから相手によっては耳を傾けることができないこともあると思う。


ただ、少しでも耳を傾ける努力はしたいとも思ってるんだ。


だけど世の中には、他人の話に全く耳を貸さない人もいる。それどころか、相手の言ったことを曲解したり発言の一部だけを切り取った上に、『そういう意味じゃない』と説明を加えても全く耳を貸さずに間違った解釈で相手をしつこく攻撃したり、酷いのになると、言ってもいないことをでっち上げて他人を攻撃したりもする。


しかも、そういう人は、自分が同じことをされるとキレるんだ。


僕だって決して完璧な人間じゃないからつい相手の言ってることを誤解してしまったりすることはあるけど、それでも、『そういうことじゃない』と言われればそれについては耳を傾けたいと思う。


なのに、そういうことを全くしようとしない人は、どうしてそんな風になってしまったんだろう。誰からそんな風にすることを教わったんだろう?。


スーパーに買い物に行ったりした時に、時々、小さな子が話しかけてるのに、まったくそれにとりあおうとしない親らしい人の姿を見かけたりする。昔の僕だったら気にもしなかったそれが、今ではすごく気になるんだ。だって、そうやって話を聞いてもらえない子供がだんだん声が大きくなって必死になっていくのが分かってしまうようになったから。


話を聞いてもらえない子供が、最後には駄々をこねるのを、何度も見てしまったから。


もっと早い段階でちゃんと耳を傾けてあげていれば駄々をこねることもなかったのに、子供が駄々をこね始めてから慌てて機嫌を取ろうとして、でももう子供の方も聞く耳もたなくてっていう光景を、何度も見てしまったんだ。


それを見て僕は思ってしまった。


『そっくりな親子だ』


って。お互いに相手の言うことに耳を貸そうともしないところがそっくりだって。


しかもそういう人は、それを面と向かって指摘されると決して認めようとしないんだろうな。


だから僕はそんな光景を見かけても、口出しはしないんだ。



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