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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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八百二十五 結人編 「自分でも引きますから」

十月三日。水曜日。今日も快晴。朝晩なんか肌寒いくらいに涼しい。でも、このまま好天が続けばまた暑くなったりするんだろうか。と思ってたら、三時過ぎくらいから曇り出した。本当に好天が長続きしないな。




来週の火曜日からは、沙奈子達が修学旅行に行く。二泊三日で、目的地は広島だ。ここまで臨海学校とかの経験もあるし、千早ちはやちゃんや大希ひろきくんが一緒なら心配ないと思う。


結人ゆうとくんについても、何か他人から突っかかられるようなことがなければ彼の方からはケンカをしかけたりすることはないっていうのはここまでの様子で確認できてる。なにしろ彼は、転校してきてからこっち、トラブルらしいトラブルを起こしてないそうだし。『環境が人を作る』っていうのは確かにあるんじゃないかな。


鷲崎わしざきさんが言ってた。


「思えば本当に引っ越してきてから結人のことで学校から何か連絡があったり呼び出しを受けたりっていうのがなかったですね。今までの学校だと、だいたい一ヶ月に一回、多い時には毎週くらいの割合でなにがしかの連絡が入ってましたから」


って、


「そんなに?。沙奈子なんて千早ちはやちゃんのことで連絡が入ったとかくらいだったような……」


僕がそう返すと、「はあ…」とため息を吐きつつ、


「やっぱり普通はそんなものなんですよね。確かにちょっと多いかなとは思ってたんですけど、男の子ならこんなこともあるのかなくらいに考えてたんです」


と少しショックを受けた感じだった。おかしいなとは感じつつも、認めたくないから気にしないようにしてきたってところかな。


「そういう部分を過小評価したくなる気持ちは僕にもあるよ。だから鷲崎さんがおかしいわけじゃないと思う。だから他人の視点っていうのが必要なんじゃないかな」


「ああ…、そうかもしれませんね。やっぱり先輩と再会できたのは本当に幸運でした。もし先輩じゃない人にそんな風に言われてたら素直に聞けなかったかもしれません」


「それも分かる気がする。僕は山仁やまひとさんに出逢えたことが幸運だった。それがなかったら、今、こうして鷲崎さんのことを受け入れられてなかったかもしれない」


「そうなんですか?。あ~、でも、確かに昔の先輩のままだったらそうだったかもしれないですね」


と、今度はちょっとだけ困ったような笑顔になって続ける。


「あの頃は正直、私も無謀なところが多かったですから先輩が引いてるのも感じつつぐいぐい押せましたけど、今ではさすがにあの勢いでは無理ですね。自分でも引きますから」



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