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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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八百二十三 結人編 「何も後ろめたいことは」

夕方ごろから雨が強くなってきた。でも風はまだそれほどじゃないのか。


と思うと、夜になってから風も強くなってきた気がする。


ただ、不安はそれほど感じない。以前の台風で飛ばされたサンシェードはさらに頑丈に取り付けた。以前の風と同等程度までなら大丈夫なんじゃないかな。


時々、ぼおぼおとすごい音をさせながら風が吹き抜けていくけど、やっぱり以前のあれよりは迫力もないし、不安もなかった。


「どうやら今回のはいつもの台風って程度かな」


ビデオ通話で玲那がそんなことを言ってくる。


「そうですね。なんか、『怖い』って感じがしないです」


鷲崎わしざきさんも落ち着いた感じでそう頷く。


とは言え、もちろん油断はできない。


そんな風に思いつつも、沙奈子と一緒に横になると、二人ともすっと眠れてしまった。風の音もそれなりにしてたのに。




十月一日。月曜日。まさに台風一過のいい天気。


今回の台風は前回のと比べれば、『いつもの台風』だった気がする。目立った被害がなかったのは幸いだった。ただそれでも、前回の時に弱ってた部分がとどめを刺された形になったらしいのとかは、通勤の時に散見されたけど。




ところで、僕が、『ルールを守る姿勢を沙奈子たちに対して示したい』と言いつつ、淫行や性的虐待と他人から言われかねないのに、沙奈子と一緒にお風呂に入ったり、星谷ひかりたにさんたちが旅館で大希ひろきくんと一緒にお風呂にお風呂に入ったりするのを見過ごしてるのを『二枚舌だ!』とか『矛盾してる!』とか言う人は必ずいると思う。


僕自身は、その件についてはたぶん交通法規みたいにはっきりとした線引きのない『法律上曖昧な部分』だと思ってるから、沙奈子や大希くんが嫌がってない以上は特に問題ないと個人的には思ってるだけなんだ。


ただ、だからといってみんなが僕たちと同じようにするべきだとは言わない。だって、本当は嫌がってるのに脅して黙らせた上で『本人が嫌がってない』とか言って誤魔化そうとする人が出てくるかもしれないから。そういう時の為に、『疑いをもたれる可能性のある部分』というのは逆に残しておくべきかなって気もしてる。


それと同時に、沙奈子や大希くんの件は何も後ろめたいことはないから、来支間きしまさんの時の件みたいなことがあってももう狼狽えたりしない。


それに、こんな僕を『信じられないから、尊敬できないから、反発する』って言うのなら、『信用できない、尊敬できないから、言うことを聞きたくない』っていう僕の話をむしろ裏付けてくれる形になるんじゃないかな。



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