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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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八百十四 結人編 「彼の『仮面』なんだ」

九月二十一日。金曜日。今日も朝から雨。昼頃には一旦やんだけど。それでも時々、細かい雨は降ってたみたいだ。




『ノリ』で親しくもない相手を冷やかせるような人は、ただ自分が楽しみたいだけなんだろうなって気がしてる。本人は『みんなを楽しませたいから』とか言うかもしれないけど、それで楽しめない人もいるってことを考えてない以上は、やっぱり『みんなを楽しませようとしてる自分が好き』なだけなんだろうな。


そういう人と波長が合う人はそういう人同士で楽しんでくれてたらいい。別に楽しんでる邪魔をしようとは思わない。でもそういうノリを共有できない人もいるっていうことを理解した方がいいと思う。特に、『自分のノリを理解しない人がいるのが気に入らない』のなら。


自分のノリに合わせられない人が傍にいると嫌な気分になるのなら、そんなタイプの人とは関わらないようにすればいいと思うよ。だって、世界中の人が全員、自分と同じになれるなんてことは有り得ないから。自分が『ノリが悪い人』に合わせることができないのに、相手には自分のノリに合わせてほしいなんて、ただの我儘としか思えない。


だったら、ノリが合う人同士で楽しくやってればいいんじゃないかな。


合わない人に無理に合わせる必要なんてないと思うんだ。


山仁やまひとさんが、


『携帯を持ってなきゃ友達になれない相手とは友達にならなくていい』


『お金を持ってなきゃ友達になれない相手とは友達にならなくていい』


って考えてるのが、僕にもすごくしっくりくる。僕もそれでいいと思ってる。沙奈子も、絵里奈も、玲那も、鷲崎わしざきさんもそう思ってる。


僕たちはそういう部分が噛み合うから一緒にいられる。たまたまそういう人しかいないんじゃなくて、そういう部分が噛み合う者同士だから親しくなったんだ。


自分とは合わない相手と無理に親しいフリをするのは大変なストレスだよ。元々辛いこと苦しいことを抱えてる人がさらに合わない相手と無理に付き合うことでストレスを抱えるのは、自分のためにもならないと思うし、結局は周りの人にも迷惑を掛けることになるんじゃないかな。


僕たちは敢えて、明らかに自分と合わない相手とは馴れ合わないという選択をした。同時に、馴れ合わないけど干渉もしない、仕方なく関わる時には社交辞令で無難に済ますって形にしてる。そのおかげで平穏な毎日を過ごせてるんだと思う。


その僕が結人くんに拘るのは、結局、彼とは何か噛み合うものを感じてるからなんだろうな。彼の暴力的な部分そのものが、彼の『仮面』なんだっていう予感があるんだ。



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