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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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八百二 結人編 「エスカレートしてないか?」

九月九日。日曜日。今日も引き続いて雨が降ったりやんだりだ。


台風で屋根が飛ばされたところなんかは、この雨は困るだろうな。応急で対処してても完璧とはいかないだろうから雨漏りとかもしそうだし。そういう意味でも被害がなかったのは助かった。


だから昨日の波多野さんの誕生パーティーも、楽しんだのは楽しんだけど、ちょっと羽目を外しすぎないようには気をつけてたかな。その分、次に予定してる田上たのうえさんのそれでは思いっきり楽しもうってことになった。




昼前、結人ゆうとくんは沙奈子と一緒に勉強してる。二人ともまったく会話もなく。


なんか、息が詰まりそうにも見える光景なのに、沙奈子自身は何とも思ってないのが分かる。表情に苦痛みたいなのが見えないんだ。僕も含めた他の人にはこういうのは苦痛だったとしても、この子にとっては気になるものじゃないらしい。


ちなみに、さすがに結人ゆうとくんがいる時には僕の膝には座らないけどね。


別に恥ずかしいからとかいうわけじゃないみたいだけど、何となくそうした方がいいと思ってるのかな。僕としても、恥ずかしくはなくても、どちらかと言うと結人くんにはできないことをやってるのを見せ付ける形になるかもしれないしという意味ではやらない方がいいのかなって気はしてる。


それに単純に、『一緒に勉強してる人が他の人に膝に座ってたら気が散ってしかたない』気もするし。


なんてことを考えてる間にも勉強は終わって、


「やほ~っ♡」


って感じで千早ちはやちゃんたちがやってきた。


「沙奈は元気かな~?。私は元気だ~!。元気かどうか確かめさせろ~!」


とか言いながら千早ちゃんが沙奈子を捉まえて、頬ずりしてくる。それを沙奈子も嫌がるでもなく受け入れてる。って言うか、少し嬉しそうにも見えるくらいかな。千早ちゃんのそういうスキンシップがこの子にとっても嬉しいものになってるんだなっていうのを感じるんだ。それが僕も嬉しい。


「千早~、なんかだんだんエスカレートしてないか?」


大希ひろきくんが冷めた目でツッコんでくる。彼も、普段は大人しいように見えて、特に親しい相手にはなかなか遠慮がない。なのに、それがちっとも攻撃的に見えない。穏やかに笑いながらだからかもしれないな。しかも千早ちゃんも、


「い~でしょ!、沙奈も嫌がってないんだから~!。ね~?、沙奈~♡」


とますます頬を擦りつけてくる。


そんな三人のやり取りを星谷ひかりたにさんが柔らかく微笑みながら見守ってて、さらにそれを鷲崎わしざきさんが羨ましそうに見てる。


「いいな~、結人も早く仲間に入ったらいいのに~」


そう言う鷲崎さんに、結人くんは「ふん…」と鼻を鳴らすだけだった。


鷲崎さんの言葉は本心だろうけど、だからといって結人くんに押し付けるために、従わせるために発せられた言葉じゃないのは分かる。


彼女はただ、結人くんに幸せになって欲しいだけなんだ。



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