表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
801/2601

八百一 結人編 「胸がぐっときて」

九月六日。木曜日。昨日はまさに『台風一過』って感じのいい天気だったのに、今日は少し雲が多い。気温も下がってる気がする。


僕たちは大きな被害もなかったからすぐにいつも通りの生活に戻れたけど、大変な人もいるんだろうな。


あと、会社にいた時に聞こえてた『ガギギギギ』みたいな音は、隣のビルの手摺りが壊れてこっちのビルの壁に当たり、風にあおられてこすってた音だったらしい。それで壁の一部に穴が開いてたとも聞いた。だからそれを塞ぐ工事が昼頃から始まってたみたいだ。




九月七日。金曜日。今日もまた、朝から雨だった。今年は本当によく降るな。


雨は嫌いじゃないけど、児童相談所での事件以来、強く降ると少し憂鬱な気分にはなる。そんなに気にはしてないけどね。


今日は波多野さんの誕生日だけど、パーティーは明日ということになってる。




九月八日。土曜日。今日も降ったりやんだりの天気だった。


いつものカラオケボックスで波多野さんの誕生パーティーがあるんだけど、その前に、すっかり習慣になった、結人ゆうとくんと一緒の午前の勉強を済ませておく。


でもその前に、今日の波多野さんの誕生パーティーについて、鷲崎わしざきさんとビデオ通話で話しておいた。


「波多野さんっていうコの誕生パーティーに行くことになるからお昼は一緒にできなくて申し訳ない」


「いえいえ、こちらこそ気を遣わせてしまってごめんなさい。本当はこんな毎回毎回ご馳走になるのが変なんですよね」


「ああ、それは、前から言ってる通り、気にしなくていいから。僕にとっては沙奈子のためにしてることでもあるし」


「それは分かってるんですけど、やっぱり申し訳なくて」


そう言って視線を落とす鷲崎さんに、玲那が笑顔で言う。


「大丈夫大丈夫!。織姫はちゃ~んと私たちにもメリットをくれてるから。お父さんが転職できたのなんてそれこそ織姫のおかげじゃん。それだけでも私たちにとってはとんでもない福音なんだよ」


続いて絵里奈も、


「そうですよ。それに、前にも言いましたけど、普段一緒にいられない私たちの代わりにいたるさんと沙奈子ちゃんの様子を間近で見てもらってるっていうのもあるんです」


って。


そんな二人に、鷲崎さんは、


「ありがとうございます…、ありがとうございます……!」


って何度も頭を下げてた。


その様子に、僕もなんだか胸がぐっときてしまう。三人の気持ちがそれぞれすごく迫ってくる気がしたからだと思う。そんな風にできる相手を見付けられたっていうのは、それ自体が幸せなことだって思うんだ。




で、お昼については、沙奈子がハンバーグを用意してくれてて、それを鷲崎さんに届けて、僕と沙奈子は波多野さんの誕生パーティーへと向かったのだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ