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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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七百九十八 結人編 「安全確保が第一」

もし、何か大変なことがあったのなら連絡が入るようにはなってる。でもその上で、地震の時にも使った災害用の伝言板をスマホで開いてみた。他のみんなも、それぞれどこかに電話したりしてる。


「これじゃ仕事にならないな。でも、今から外に出るのはかえって危険だ。とにかく待機しよう。強化ガラスだから大丈夫とは思うけど、みんな、窓には近付かないように」


僕を面接してくれた課長さんが指示を出す。


それを聞きながら、僕は災害伝言板を確認した。


『現在、こちらは全員無事です』


『こっちは大丈夫だよ』


山仁やまひとさんと玲那のアカウントからの書き込みがあった。それぞれ二分前、一分前の書き込みだった。それを確認して、ホッと胸を撫で下ろす。それから僕も、


『こちらも無事です』


と書き込んだ。


地震に豪雨に台風か。まったく、災害のバーゲンセールだな……。


それからしばらくもものすごい風が吹き荒れてたけど、幸い、大きな被害はなかったのだった。




四時過ぎくらいだったかな、風も雨もようやく落ち着いた気がした。だけど台風の位置そのものは、まだすぐ近くを通過中で、危険なことには変わりない。情報を得る為に点けられたテレビでも、


「吹き返しという形でまた風が強くなることがあります。油断はしないでください」


とレポーターが言ってた。


大きな台風が頻繁に来る辺りだとこのくらい普通なのかもしれないけど、滅多にそういうことがない辺りだとこんな風に慌ててしまうんだろうな。


再度、災害伝言板を確認すると、


『全員無事です。家にも被害はありません』


『うちは無事だけど、屋根とか飛ばされてる家もある~。スーパーのでっかい看板が支柱ごと倒れてる~』


っていう、山仁さんと玲那の書き込みが。


さらに、


『私もお店の人も無事ですけど、お店のテントが壊れました。片付けをしないといけないので帰りは遅くなります』


と絵里奈の書き込みも。時間は三時過ぎ。いつもなら仕事が終わって帰る時間だ。


風がマシになってからは、会社には被害らしい被害がなかったから僕たちも仕事に戻ったけど、さすがに遅れてたし、終業時間近くになってまた雨と風が強くなってきたから念の為に会社に残ってついでに残業することになった。


「ちゃんと残業手当も付くから」


課長さんがそう言ってくれる。


そこで僕は、山仁さんのところにまた電話して、


「今日は帰りが少し遅くなります。すいません」


とお詫びさせてもらった。


「いえいえ、構いません。台風が完全に過ぎるまでまだ少しかかりそうですし、安全確保が第一ですから」


そう言ってもらえてホッとする。沙奈子は今日は、山仁さんのところで夕食をいただいて帰ることになった。


だから今度は鷲崎わしざきさんのところに電話して、


「すいません。今日、沙奈子は山仁さんのところで食べることになったので、夕食は一緒にできなくなりました」


と伝えたのだった。



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