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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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七百九十七 結人編 「これヤバいよ!」

昼十二時を過ぎたあたりから、風がかなり、いや、すごく強くなってきた。雨はまだもっとすごいことはあったけど、今回は風が強い。


窓から外を見ると結構大きなものが飛ばされるのが見えて、どごおっ!て今まで聞いたこともない音が聞こえた。風の音だ。


「うわっ!」


「きゃーっ!」


オフィスの中でそんな声が上がるくらいの風だった。僕もさすがに緊張してしまう。


だけどそれよりも、僕は沙奈子と絵里奈と玲那のことが心配になった。それから、鷲崎わしざきさんと結人ゆうとくんのことが。


休憩時間だったから、山仁やまひとさんの家に電話を掛けてみた。するとてっきり大希ひろきくんが出ると思ってたところに、山仁さんが出た。


「さすがに寝ていられなくて、そのまま起きて警戒しているところです」


とのことだった。当然か。


正直、会社の方でも仕事にならなかった。何度も照明が一瞬消える。電圧低下だと思った。PCとかの方はもちろん停電対策はしてるから大丈夫でも、さすがに気が気じゃない。


「私も生まれてずっと京都に住んでるけど、ここまでの台風って経験ないかも…」


洲律すりつさんが不安そうに呟く。僕も就職と同時に来たけど、こんなのは初めてだ。


「沙奈子……」


今、山仁さんの家にはみんなが集まってるらしい。千早ちはやちゃんはまだ小学生だし、星谷ひかりたにさんはご両親が万全の対策をしてるらしいけど、波多野さんと田上たのうえさんは自分の家が気にならなんだろうかと少し思ってしまった。


ただそれも、もし自分が二人の立場だったら、たぶん、家のことよりも自分たちの『居場所』を守ることを優先するだろうなって気もする。


なんてことを考えてる間にも、風はますます強くなってきた。


ビュウビュウとかいう感じじゃない。それこそ、『どどおっ!!』って感じの風だ。窓から外を見ると、何か分からないけどさっき見たのよりさらに大きなものが宙を舞ってるのが見えた。ニュース映像とかで見るものだと思った。


しかも、『ガギギギ、ゴリゴリゴリ!』みたいな、聞いたこともない音がどこかから響いてくる。電柱も、見たことのない勢いで揺れてた。電柱って、あんな風に揺れるんだ…?。


沙奈子たち、本当に大丈夫かな…。アパートも大丈夫かな……。


不安がさらに込み上げてくる。


その時。また、「どごおっっ!!」ってとんでもない音がした。さっきのよりもさらに大きい。風だ。と言うか、『空気の塊』みたいのが叩きつけてきて、ビルそのものが揺れた。


突風だ。


割と新しくてしっかりしてそうなビルが揺れた。


「きゃーっ!」


って悲鳴が上がる。


僕も、「うおっ!?」って、とても自分のとは思えない声が出た。


「ヤバイ!、これヤバいよ!」


洲律さんが叫んでたのだった。



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