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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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七百九十五 結人編 「他人が評価してくれてるんだから」

『携帯とかスマホがなければ付き合えない相手は友達じゃない』


それは、僕にとってもすごく理解できる話だった。携帯電話が普及しはじめて、誰もが持ってるのが当たり前になってた頃にも、僕は敢えて持たないようにしてた。そこまで他人に干渉されるのが嫌だったから。


携帯を持ってないと不安だって言う人には、


『どうして昔はそんなのなくても平気だったのに、急にそうなるんだよ』


って、口には出さなくてもそう思ってた。そうして見下してたのは事実だと思う。


そんな風に内心では他人を見下してたような僕は、ぜんぜん立派な人間じゃないし、『姪とはいえ自分の子供じゃない子を引き取って育ててるなんて偉い!』とか言われたって違和感しかないんだ。それは、僕という人間をほんの一面でしか見てないんだなっていう実感しかない。僕の一面を見ただけで分かったように口ぶりで『偉い!』と言われたって鼻白むだけだよ。嫌味にしか聞こえない。


こう言うと、


『他人が評価してくれてるんだからありがたく受け取っとけ!』


って憤慨する人もいるけど、それがもう『嫌悪の対象』でしかないんだ。他人に対して自分の感覚を押し付けることを正しいと思ってる証拠だから。


僕がこんな風に言ってること自体を『押し付けだ!』って言う人もいるかもしれない。と言うかいると思う。


でも、僕は少なくとも面と向かってそんなこと言わないようにしてるし、山仁やまひとさんも、自分たちが携帯を持たないようにしてるからって他人に対しても『持たない方がいい』とは言ってこない。あくまで『自分はそうしてるだけ』って話なんだ。


それに、『携帯やスマホがあったら便利』だっていうことも認めてる。持ってる人を馬鹿にするつもりなんてない。だから山仁さんはスマホを持ってるし、僕も持ってる。ただ、『それがないと生きていけない』とか『それがないと友達も作れない』っていう風には僕たちには思えないだけなんだ。




九月二日。日曜日。今日は、昨日に引き続いて割と涼しい。このまま暑さが収まって秋になっていってくれたらと思うけど、そうは問屋が卸してくれないかな?。


それに、天気も不安定だ。この辺りでは雨までは降らなかったけど、遠くで雷が鳴ってたりはした。台風が近付いてる影響なのかなとも思った。


それはさておいて、今日も千早ちはやちゃんたちが昼食を作りに来てくれて、鷲崎わしざきさんと結人ゆうとくんも一緒に食べた。


だけど、結人くんに『手伝え』とは言わない。小学生でここまで料理ができることを世間は褒めてくれるかもしれなくても、別にできなくたって困らないから。


僕だって親に家事の仕方なんて教わったこともないけど、大人になってからテレビとかを見て覚えただけでも、それなりにはできるようになったからね。


押し付けてまでやらせなきゃいけないことだとは思ってないんだ。



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