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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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七百九十 結人編 「誰もが苦手なわけじゃ」

八月二十八日。火曜日。今日は朝からどんよりと曇ってた。雨までは降らなかったし、湿度が高いからか蒸し暑い。熱中症には気を付けないと。


ところで、不思議と僕たちの間では『夏バテ』というのがなかった気がする。暑いのはもちろん暑いし、大変なんだけど、体調そのものは悪くなかった。食事をしっかりとって、睡眠もちゃんととってってしてるからかな。




それはさておき、出勤二日目。


昨日は、出勤して、職場の人たちに、


「今日からうちで働いてくれることになった山下さんです」


とか紹介されて、正直、戸惑ってしまった。


前の会社では、誰が新しく入ってきてもそんなことしなかったから。


この点では、本音を言わせてもらうと前の会社の方が良かったかもしれない。僕はどうもこういうのは苦手だから。会社にはあくまで仕事をしに行ってるんであって、友達を作りに行ってるんじゃないっていう意識がどうしても強いんだ。


ただ、鷲崎さんが気持ちよく勤められる会社だからか、みんないい人そうで、特に洲律すりつさんは、僕が沙奈子の父親だということもあってか、すごく気を遣ってくれてるのが分かった。


でもまあこれも、本気の本音で言うと、そっとしておいてくれた方が助かるんだけどな。


どうもぐいぐい来られるのは苦手だ。絵里奈や玲那だって、最初は僕にとってなかなか負担だったのは否めない。


その後、二人の場合は僕とうまく噛み合ったから受け入れることもできたものの、誰が相手でも同じようにできるわけじゃないからね。


しかも、ここの人達はすごくいい人そうだから、逆にスルーしにくいかな。スルーするのが申し訳ない気がしてしまう。仕事はすぐに覚えられそうだけど、職場でのその辺りの付き合い方を身に付けることの方が難しそうだ。


特に洲律さんは、沙奈子のことが相当気になるらしく、隙を見付けては、


「沙奈子ちゃんの新作ドレスはどんなのですか?」


とか、


「今からオーダーメイドを頼んだらいつ出来上がりますか?」


とか、圧がすごい。


でもそれに対しては、


「みこっちゃん!、山下さんが困ってるでしょ!。ハウス!」


って感じで、鷲崎さんが庇ってくれてた。そういうところはさすがだな。


しかし、『ハウス』って……。


しかもそう言われた洲律さんも、大人しく自分の席に戻っていったりと、ノリがいい。この辺りの掛け合いは、結人くんとの『おデブ!』『デブじゃない!』のあれに通じるものもあるのか。僕にはできない付き合い方だなあ。


だけどそういうのも、人それぞれなんだと思う。僕にできないからって誰もが苦手なわけじゃないもんな。



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