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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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七百六十 結人編 「善意でそれをしてるとは」

七月三十日。月曜日。


昨日の旅館でのイチコさんの誕生日パーティーもとても楽しかった。絵里奈と玲那も旅館で合流して、みんなで料理とお風呂を楽しんだ。沙奈子も楽しんでた。




ところで、星谷ひかりたにさんの言い方も厳しいように聞こえるかもしれないけど、でも彼女は、


『自分のことも甘やかしてるんだから、そんな人が他人に厳しくしようとするのはおかしい』


って言ってるだけなんだって分かる。今の彼女自身は、他人に対してはすごく優しいんだ。口では厳しい風に言ってるように思えても、ね。


だから、波多野さんのお兄さんやご両親のことも見捨てたりしない。


普通は、自分勝手な主張を繰り返して自分の罪を誤魔化そうとするようなお兄さんみたいな人は見捨てられることが多いんじゃないかな。だけど星谷さんはそんな人のことも見捨てようとはしないんだ。


しかも、波多野さんのことを山仁やまひとさんに任せっきりで生活費さえ出そうとしないご両親についてもサポートを続けてるって。


でもそれについては、あくまで『波多野さんのお兄さんやご両親だから』っていうのもあるとは思うけど。


いくら星谷さんが高校生とは思えないくらいに稼いでるからって、無限に費用を負担できるわけじゃない。だからどうしても、取捨選択が必要になってくる。その基準が、『自分にとって大切にしたい人とそのすぐ身近な人』ってことなんだろうな。それは僕も同じだ。


だけど本来は、そういうのは家族とか本当に身近な人の役目なんだと思う。波多野さんのお兄さんの件にしたってご両親の件にしたって、どうして赤の他人である星谷さんがそこまでしなきゃいけないのかって話でもあると思うんだ。


けれど実際には波多野さんの親族は、とばっちりを恐れて完全に距離を取ってしまってるらしい。


無理もないのかもしれなくても、その役目を星谷さんが引き受けてくれてることに対して一言もないっていうのもどうなのかな。


こうなってくると、つい思ってしまうんだ。


そういう親族に囲まれてたから、山仁やまひとさんが波多野さんの面倒を見てても一言もない人になったんじゃないのかなって。


それなのに山仁さんは不平不満さえ漏らさず波多野さんを保護し続けてる。でもそれが単なる善意でないことは、僕にも分かる。僕も波多野さんだったら、今なら保護できてたかもしれない。だって『波多野さんだから』。


これがもし館雀かんざくさんだったら保護はできてないと思う。


そうやって相手を選んでるっていう時点で、それはただの『善意』じゃない気がする。だけど山仁さんも星谷さんも、自分が善意でそれをしてるとは言わないから信じられるんだろうな。









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