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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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七百五十九 結人編 「影響を受けてる」

七月二十九日。日曜日。台風については、夜中の二時から三時くらいにかなり風が強くてガタガタいってたけど、暴風警報も出てたけど、思ったほどは大したことなかった。


だから予定はそのままだ。


というのも、今日はイチコさんの誕生日。そこで、星谷ひかりたにさんが例の旅館を予約して、しかもマイクロバスでみんな一緒に出掛けることになってたんだ。


台風のおかげなのか、気温も少しマシになってる。それでも35度くらいはあるらしいから、気を付けて山仁やまひとさんのところまで行く。


「いってらっしゃい。気を付けて♡」


鷲崎わしざきさんに見送られながら。


結人ゆうとくんが行きたがらないから、二人は残念だけど参加しない。でもこれはまだ当たり前だ。気にしない。


山仁さんの家の前まで来ると、あらかじめ「今から行きます」と電話しておいたからみんなもう準備万端で待っててくれてた。そこに、マイクロバスが到着する。


それにみんなで乗って、旅館に向かう。


いつもはバスや電車を使うところなんだけど、暑さが厳しいからってことで星谷ひかりたにさんが用心のために手配してくれたんだ。


「できる用心はするべきだと思います。これは『過保護』ではありません。『過保護』とは『過干渉』のことです。本人が望んでもいないことを先回りして行うことです。保護と干渉を混同してはいけないと思います」


だって。さらに、


「昨今は、『過保護はよくない』といって厳しくすることを見直そうという意見もあるようですが、私はそれについては非常に懐疑的です。なぜならば、それを言っている当人が非常に『甘えて』いるからです。


他人の些細な失敗を許さず、それでいて自らの失敗は大目に見てもらおうとする。


そして、菌といったものに対して過剰に反応する人も多い。『他人の触ったものに触れない』とか、『他人の作った料理は食べられない』とか、昔は気にもしなかったようなことを気にしてるのに、他人には『昔はこうだった』と昔ながらのやり方を押し付けようとする。これが『甘え』でなくて何なのでしょうか?。


自分は便利で快適な生活を享受しながら、エアコンの効いた部屋で涼み、僅かな距離もやはりエアコンの効いた自動車で移動したりしながら、他人に向かって『厳しくしろ』とは、筋違いも甚だしいと思います。


礼儀や礼節は確かに大切でしょうが、それと医科学的に間違った根性論や精神論を振りかざすのは根本的に違います」


等々。


でも、僕も星谷さんの言うことはすごく納得できる気がするかな。だからたぶん、影響を受けてると思うんだ。



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