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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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七百五十六 結人編 「隠して誤魔化すんじゃなくて」

七月二十六日。木曜日。


今の世の中は、間違いや失敗をとにかく許さない風潮がある気がする。他人の些細な間違いや失敗を、あたかも鬼の首でも獲ったみたいに攻撃するんだ。なのに、自分がそれをされるとまるで被害者みたいに振る舞ったりもする。


僕は、そういう大人の姿も大嫌いだった。


他人の間違いや失敗は許さず、なのに自分の間違いや失敗はとにかく誤魔化すか他人の所為にしようとする大人の姿が。


だけど、僕自身、ついそんな風にしてしまうことがないとも限らない。だから沙奈子に対しても、間違いや失敗を強く責めるのはやめておこうと思ってる。彼女自身が次からは気を付けようと思ってくれるならそれでいいと思うんだ。「次からは気を付けよう」とまったく思わないようなら、それに対してはアドバイスも必要だと思うけど。


すでに反省してる人に、自分で反省できる人に、あれこれ煩いことを言ったり怒鳴ったり、ましてや殴ったりなんていうのは『指導』って言えるのかな?。それってただ自分の苛立ちをぶつけたいだけなんじゃないかな?。単なるストレス発散なんじゃないかな?。


反省してるってことは自分で何とかしようって思ってるってことだよね。


その一方で、『反省してるふりをしてる』ってことについては、それは確かに叱られても当然かなって気はする。でもそれを叱るためには、『反省してるふりをしてる』ことを見抜かないといけないわけで、それがしっかりできる人でないと叱れないってことかもしれない。


『ふり』を見抜く為にはその人をしっかりと見ないといけないし、それができる人って、どれほどいるんだろうな。


あと、自分の失敗を誤魔化して、なかったことにしようとする人もいる。病院とかで医療ミスがあった時、学校とかでイジメを見過ごしてきた時、大企業でも思った通りの結果が出なかったときにそれを偽装してたりしてよね?。だけどそれって、『失敗すること自体を悪いことのように教えてきた』からじゃないの?。


間違いや失敗をまったくしない人っていないはずだよ。もちろんそういうのをしないで済むならそれに越したことはないけど、まったくそれをしないなんてありえない。


大事なのは、間違いやミスがあった時、それをどうリカバリーするかということじゃないの?。そしてその『リカバリー』っていうのは、『誤魔化す』ことじゃないと思うんだ。


やってしまったことについて報告して、連絡して、相談する。間違いや失敗は隠して誤魔化すんじゃなくて皆で知恵を出し合って対処する。


僕は、沙奈子にそれを教えてあげたいんだ。



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