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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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七百五十四 結人編 「立派なお手本が」

七月二十四日。火曜日。


夏休み四日目。これまでもそうだったけど、沙奈子は最初の三日間で宿題のほとんどを終わらせてしまった。千早ちはやちゃんや大希ひろきくんと一緒に。それはつまり、千早ちゃんと大希くんも同じってこと。


夏休みの宿題ってついつい後回しにしがちな印象があるから、沙奈子にはすぐに終わらせるように習慣付けようと思って膝に座ってもらって見守ってたけど、千早ちゃんにまですぐに終わらせる習慣がついたのが、正直、驚きだった。あまりそういうタイプに見えなかったから。


でも、沙奈子も含めて楽しみながら集中してやれれば、そういうものなんだなって感じる。頭ごなしにガミガミ言われるとかえってやる気になれないことが多いんだろうな。


『子供が勉強をしない』って愚痴る親も多いみたいだけど、千早ちゃんを見てて思ったんだ。それって結局、親の方のやり方がマズいんじゃないかな。


なんて、こんなことを言ったらきっと非難轟々だろうな。『こっちはちゃんとやってる。それでも子供が言うことを聞かないんだ』って。


でも、きちんと原因を調べもしないでそうやって『自分は悪くない!』って言ってしまうその姿勢、子供が何かよくないことをした時に『自分は悪くない』とばかりに言い訳を並べる姿と、どう違うんだろうって思うんだ。


自分を客観的に見られるかどうかっていうのも、親をはじめとした身近な大人や目上の人のそういうのを子供は見倣うんじゃないかな。


星谷ひかりたにさんや、山仁やまひとさんや、イチコさんや、波多野さんや、田上たのうえさんの姿を見て、今の千早ちゃんはそれを真似しようとしてるんじゃないかな。


自分が失敗したり間違った時にはちゃんとそれを認められる立派なお手本が、たくさん周りにあるんだから。


そういうのをすごく感じる。だから僕は、何か上手くいかないことがあった時、それは自分のやり方に何か問題があったんじゃないかってまず考えるようにしてるんだ。


それでただ自分を責めて小さくなってしまうのも違うと思う。それってむしろ、『自分は本来、そういう間違いをしない人間のはずなんだ』っていう思い上がりなんじゃないかなって気がする。


僕は間違うし失敗もする、ぜんぜん立派じゃない人間だ。だから間違うし失敗もする。だけどそれを修正することができる人間なんだとも思うんだ。


人間って、そういうものなんじゃないかな。失敗して落ち込んだって、落ち込んでばかりでないのも本当じゃないのかな。


僕はそれを、沙奈子と一緒に暮らして、絵里奈や玲那と、星谷さんや山仁さんとたくさん話をして学んできたんだ。



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