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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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七百五十一 結人編 「頼りにされたい」

七月二十一日。土曜日。


今日から沙奈子は夏休み。結人ゆうとくんのファンクラブの子たちの様子はあれ以来、特に変わった様子もないし、沙奈子にきつく当たったりもしてないようだ。


これが口先だけの反省だったのならまた隠れてってこともあったりするかもだけど、それがないってことはちゃんと反省してくれてるってことだろうな。だったらそれでいいと思う。


『沙奈子に意地悪したクソガキ』みたいなことで目の敵にするのも違うと思うんだ。


人間は失敗するし間違ったりもする。ファンクラブの子たちは今回、間違ったことをしたかもしれなくても、自分たちがよくないことをしたって気付いてくれたのなら、それはその子たちの『成長』って言っていいんじゃないかな。


今回はたまたま、子供たち同士でそれに気付くことができたみたいだ。だけどそれも、普段からそれに気付けるようにと先生たちがヒントを出してくれてたっていうのもありそうだ。


まだもう少し経過を注意深く見守る必要があるとしても、結果としては良かったのかもね。


ただ、反省しているように見せていて実は、っていう事例があるのも事実なんだろうな。そういうのを見抜くためには、やっぱり注意深く見守ることが必要なんだろう。千早ちはやちゃんの時も、学校はそういう部分を注意してくれてたみたいだし。


そして今、その千早ちゃんが、大希ひろきくんと一緒にその辺りは注意して見てくれてるらしい。


「隠れて意地悪したりっていうのも、見逃さないようにしてる」


って言ってくれてた。沙奈子の方も、もしそういうことがあればちゃんと教えてくれる。『迷惑かけたくない』とか『心配させたくない』とか考えて自分だけで抱え込んでしまったりしない。


『迷惑かけたくない』とか『心配させたくない』っていうのは、言葉だけで見たら気遣ってくれてる『優しさ』みたいにも見えるかもしれないけど、それって要するに子供から『そういうのを迷惑がったりとか心配するばっかりで何もできない大人』って思われてるってことと同じなんじゃないかって気がするんだ。信頼されてないのと同じなんじゃないかって。


僕は沙奈子に頼りにされたい。それが必要なことだったらむしろ迷惑を掛けてほしい。心配させてほしい。そこで無理して我慢して、この子の心が壊れてしまったりする方がもっと嫌だ。


何でもかんでも僕が解決してしまうっていうのは無理だとしても、どうすれば解決できるのか一緒に考えたい。


僕は沙奈子の『家族』なんだから。


迷惑を掛けられるのなんて当たり前。心配するのなんて当たり前。むしろそういう時のために僕がいるんだと思うんだ。



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