表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
749/2601

七百四十九 結人編 「間違った解決方法」

七月十九日。木曜日。今日は、市内で最高気温39.8度を記録したそうだ。僕たちが住んでる辺りはそれよりはちょっとだけマシだけど、それでも大した差はないかな。直感的に命に係わるそれだと感じる暑さだった。




暑さについてはもうこういうものとして気を付けるしかないのでさて置こうと思う。


それよりも、沙奈子と千早ちはやちゃんの件をはじめとしたいろいろなことに触れてきて僕なりに感じたことは、


『イジメは、深刻な状態になってから対応したんじゃ遅い』


っていうことなんだ。


もし、沙奈子が千早ちゃんにきつく当たられていたことを学校側が『ただの子供同士のケンカ』ということで対応せずに放っていたら今頃はどうなっていたかって考えると、正直、ゾッとしてしまう。


多くの大人はこういう時、『子供のケンカは子供だけで解決するべき』と思うかもしれないけど、僕はそれは違うと感じてしまった。


もちろん、何もかも大人が解決してしまうのも違うのかもしれない。だけど、解決に必要なヒントも示さずに見て見ぬふりはただの『逃げ』だと思うんだ。


『子供のケンカは子供だけで解決するべき』という考え方を、面倒なことに関わりたくない大人の『甘え』に利用してるだけなんじゃないかって。


自分が子供の頃のことを思い出しても分かる。あの頃の僕は間違いなく『未熟』だった。自分に降りかかってくる問題の解決方法を知らず、どうしていいのか分からないから見ないふりをしてただ逃げてただけだった。それが一番、『適切な対処方法』だと思ってた。


でも、それで本当に何かが解決したかと言えば、何も解決していないと思う。状況が変わってただ何となくうやむやのままで過ぎ去っていっただけだ。


もしかしたらそれを『時間が解決してくれた』と言うのかもしれないけど、正直、僕には違和感しかない。だって僕は、そうやって嫌なことから目を背けて見ないふりをするだけの人間になってしまっていたから。


当然、何でもかんでも積極的に解決していけるようなすごい人間になれるとは思わない。ただ、見て見ぬふりをしちゃ余計に大変なことになるような問題まで見ないふりをするような人間になってしまっていたことは、決して好ましいことだとは思わない。


そして僕がそうなってしまったのは、大人が、問題の解決方法のヒントさえ提示してくれなかったことにあったと思うんだ。


『子供同士のことは子供だけで解決するべき』


とか言って。


問題の解決を子供だけにやらせてて、本当に上手くいくのかな?。子供が間違った解決方法を思い付いてしまう危険性については、考慮しなくていいのかな?。


その『間違った解決方法』の最たるものの一つが、『相手をイジメる』ことだと思うんだ。


イジメが始まるきっかけはそれぞれ星の数ほどかもしれなくても、それが始まった理由のほとんどは、


『そうするのが正しい』


と、思ってしまったからじゃないのかな。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ