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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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七百四十六 結人編 「そうやって時間が」

七月十六日。月曜日。今日は<海の日>で休日。しかもとんでもない暑さも続いてて、今日はもう、日が暮れるまでは一切、外に出ないと決めた。


それにしても、地震、大雨に続いて今度は酷暑か。たまたまそういうのが続いただけなのは分かってても、厳しいなって思ってしまう。


ただまあ、自然のこともそうだけど、人間関係の方もいろいろと大変みたいだな。僕なんかは一切そういうの無視してきたタイプだったように思いつつも、全く無縁ではなかったのか。


昨日の、『結人ゆうとくんのファンクラブの内紛問題』のことを思い出しつつそんなことを考える。


今のところ、結人くん自身はそのことについては一切承知してないらしい。元々関心がないのに加えて、ファンクラブの女の子たち自身が彼に遠慮して迷惑を掛けないようにとはしてくれてるらしい。その程度の自制心はあるんだから、今のところは静観かな。


「もてる男は大変だねえ~」


ビデオ通話の画面の向こうで、玲那がニヤニヤ笑ってる。すると同じくビデオ通話の画面の向こうで鷲崎わしざきさんが、


「でも、今までの学校ではこんなことなかったと思うんですよね。むしろ『乱暴な嫌われ者』って感じだったんじゃないかな。それがどうしてこんなことに」


って首をひねってた。そこで僕は、


千早ちはやちゃんたちから聞いた話を分析した星谷ひかりたにさんの推察としては、あの学校には結人くんみたいなタイプがほとんどいないし、結人くん自身がここまで目立った問題を起こしてないから、単純に彼の『カッコいい』部分が際立ってるんだろうっていう話でしたね」


って、星谷さんから聞いた話として改めて伝えた。


それでも鷲崎さん自身はピンとこないらしい。普段の結人くんを知ってるからなおさらなのかもしれない。


「確かに結人は、自分からケンカを仕掛けるようなタイプじゃないですけど、明らかに態度悪いですよね。普通の女の子はそういうの気にならないんでしょうか。私、ガラ悪い人はすっごく苦手だったんですけど」


そんな彼女に対して玲那が、


「昔から、『悪い男』、『悪そうな男』が好きっていうタイプの女の子は、一定数、いるみたいだけどね。私の実の母親みたいな」


と、苦笑いを浮かべながら言う。


「そういうもんなんですかねえ……」


なんていうやり取りをしてる僕たちを尻目に、沙奈子は黙々と人形のドレス作りをしてた。その様子がまた、淡々としてるように見えて実は活き活きとしてるのが分かる、沙奈子らしい時間の過ごし方だったと思う。


この子にとっては、そうやって時間が過ぎるのは苦にならないどころか楽しいんだろうな。本当にいい趣味と言うか楽しみを見付けられたと思うよ。



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