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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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七百三十一 結人編 「その場にいない人の言葉を」

七月二日。月曜日。ただ一言、暑……、いや、七月に入ったんだから暑いのは当たり前なのか。だからもう、ただ暑いだけの日には、それについては触れないようにしよう。




有名な言葉なんだから、それはとにかく正しいんだ。批判なんか許さない。


そんな風に考える人とは、僕は合わない。


なにしろ僕は、大人の言うことを何でもかんでも疑ってかかる子供だったから。大人のことをとにかく信じてなかったから。


大人しくて聞き分けのいいふりをしてたのは、変に逆らって面倒臭いことになりたくなかっただけだと思う。


そういう人達が信じてるもの自体を、僕は疑ってかかってた気がする。


信じるのは勝手だけど、それを僕に押し付けるのはやめてほしかった。僕はそれが本当に正しいのかどうなのか、自分で納得したかったのかもしれない。


そうして今、僕自身の目の前で起こってることと照らし合わせて、


『単純にその通りとは限らないな』


っていうのを改めて実感してるんだ。自分が実際に経験してることに当てはめてみて、でも上手くいかないから、噛み合わないから、そのまま真に受けるのは危険だなって思うだけなんだ。


それを信じていたい人は勝手にしてくれてていいけど、僕たちに押し付けるのはやめてほしい。現にそれでは上手くいかないんだから。


上手くいかないのに誰かが正しいと信じてることなんだからとにかく受け入れろなんて、正直、悪意しか感じないよ。


『偉い人、立派な人が言ってたことだからとにかく間違いないはず』なんて、ただの妄信、ううん、狂信だとしか思わない。


僕の言ってること、やってることも、僕たちの事例に当てはめてみたらその方が上手くいったっていうだけだから、すべての事例で当てはまるかどうかは、たぶん、実際のそれに当てはめてみないとどうか分からないんじゃないかな。


とにかく、どこかで誰かが言ってたことを、きちんと自分の事例に当てはめてみて大丈夫かどうか、上手くいくのかどうかを確かめもしないで鵜呑みにしたりするのは危険だっていう気しかしないんだ。


自分がやったこと、自分が選択したことは、自分が責任を負うしかないんだから。それを言った人は、責任を負ってはくれないんだから。


誰かが言ったことを参考にするのはいいと思う。だけどあくまで参考にするだけで、実際に上手くいくのかどうかについては何も保証してくれないというのを忘れちゃいけない気がする。


僕たちはお互いに傍にいるから、それぞれが言ったことが当てはまるかどうかがすぐに分かるし、もし上手くいかなかった時にはその場で改めることもできる。


だけど、その場にいない人の言葉を参考にする時は、結局、自分が責任を負うしかないんだっていうのを、覚悟しないといけない気がするんだ。



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