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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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七百二十七 結人編 「取り繕うだけの」

六月二十八日。木曜日。朝から暑くて湿度が高い。体調を崩しやすい気候って感じだから、気をつけなくちゃ。


でも、僕達はみんな元気だ。食欲もあるし、だるさみたいなのも感じない。




それにしても、僕みたいな考え方をする人間を毛嫌いする人もいるんだろうなって分かってる。『悪いことをした奴が殴られもしないとかおかしい!』ってムキになる人もいるだろうな。


だけど、実際に、沙奈子や千早ちはやちゃんや結人ゆうとくんをそばで見てきて接してきて、そして僕自身の経験も重ね合わせて考えると、そう考えないと筋が通らないんだ。辻褄が合わないんだ。


僕が軽蔑して見下してきた大人にならないようにする為には、そうでないと。


完璧じゃなくても、立派じゃなくても、子供から見て信頼できる大人って、どういう大人だろうって。


口では偉そうなことを言うのに完璧じゃない大人を、僕は軽蔑して見下してきた。ルールを守らない大人を、約束を守らない大人を。


でも、偉そうなことを言って命令してこなければ、取り敢えず話くらいは聞いてもいいかなと思ってた。あの頃の僕がそう思えるような大人でいようと思う。


逆に、今の僕みたいな大人を軽蔑して見下すような子もいるかもしれない。館雀かんざくさんみたいなタイプはそうなのかもしれない。だけどそれは、彼女のようなタイプの子が話を聞いてもいいと思えるような大人になれる人がそうなればいいんじゃないかな。


どんな相手にも完璧に対応できるような人なんて、たぶんいないと思う。そのためにいろんな人がいるんだと思う。一人の人がなんでもどんな時でも完璧にできるのなら、その人一人がいればいいってことになってしまうし。


僕は、沙奈子や、結人くんや、千早ちゃんや、大希くんにとって、昔の僕にとって、『話を聞いてもいいと思える大人』でいられればいい。万能であろうとも、完璧であろうとも思わない。


自分にできることをちゃんとやる大人でいたいだけなんだ。


自分にはできもしないことを『できる』と見栄を張って結局は嘘を吐くことになる大人にはなりたくない。見栄を張るだけの大人を、体裁ばかりを整えて中身は伴ってない大人を、子供との約束を軽んじる大人を、僕は軽蔑して見下してきたんだ。


大人だって完璧じゃない。実は立派なんかじゃない。だらしなくてみっともなくて、駄目なところもたくさんあるっていう現実をちゃんと認める勇気のある大人でありたい。


自分の間違いを認めて反省できる大人でありたい。


自分がルールを守ろうとしないことをあれこれ言い訳並べて取り繕うだけの大人なんて、僕は信頼も尊敬もできなかったんだ。



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