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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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七百十七 結人編 「助け合ってるのを」

六月十八日。月曜日。朝、オフィスについて仕事を始めようとしてた時、緊急地震速報が流れて、その直後に建物が大きく揺れたのが分かった。


「地震…!?」


かなり大きいな。阪神淡路大震災の時に感じたのよりも大きかったかもしれない。


学校に電話をしようと思ったけど、繋がらない。これはただ『大きいな』で済まないかもしれないという予感があった。


でも不思議と不安はなかった。大きいのは大きいけど、『このくらいなら』とも思ったし。


こんな時の為に、安否情報のやり取りをする為の登録をしておいたのを思い出して、そちらにアクセスする。するとさっそく、星谷ひかりたにさんが『私は無事です』と書き込んであった。それに続いて玲那と絵里奈の『無事です』という書き込みが。


だから僕も『無事です』と書き込んでおいた。


会社の方もこれといって被害もなかったことで、いつも通りに仕事が始まる。


だけど、十五分くらいした時に、


「高槻工場で被害があって操業が止まってる」


って、別の部署の人がやってきて言った。そこでようやく僕も、


『これはもしかしたら、大きなことになってる?』


と思った。


そこに、沙奈子の学校からのメールが。


『本日、市内の全ての小学校が臨時休校となりました。つきましてはお子さんのお迎えをお願いします』


幸い、学校の方では何も被害はなかったらしい。だけどこんな急に迎えに来てほしいと言われても、さすがに戸惑うしかない。けれど、こういう時のために山仁やまひとさんと話はしてあったんだ。大希ひろきくんだけじゃなく、沙奈子と千早ちはやちゃんも迎えにいってもらうって。しかもそれは学校とも話ができている。


電話はますますつながりにくい状態になってて、だから改めて連絡用のサイトにアクセスすると、


『私が千早ちゃんと沙奈子ちゃんを迎えに行きます。こちらは全員無事です』


という山仁さんの書き込みが。他にも、イチコさん、波多野さん、田上たのうえさん、鷲崎わしざきさんからの無事を知らせる書き込みも。


『よかった…』


それが確認できたことでホッとする。


って感じで僕たちは全員無事だったんだけど、その後も、次々と情報が入ってきて、会社としても生産計画の見直しが求められるって話に。


対応が決まるまで今の作業はいったん止めることにもなったから、同僚のワンセグテレビにみんなが集まってニュースを見てた。僕は自分の席でスマホを見てたけど、漏れ聞こえる音声だけでも、震源は大阪北部。震度は、ネットでは六強ってなってたのにテレビでは六弱とも言ってて判然としない。情報が錯綜してるようだ。


さらに三十分ほどして改めて連絡用のサイトを見た時には、


『大希と、千早ちゃんと、沙奈子ちゃんを迎えに行ってきました。イチコと波多野さんと田上さん、星谷さんも集まり、全員の無事を改めて確認しました』


となってた。


こうやって助け合ってるのを確認できて本当に良かった。



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