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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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七百四 結人編 「努力しても合わない相手と」

六月五日。火曜日。朝から薄曇りだったのが、夕方から雨になってきた。


夜にはしっかりとした雨になって、僕は、雨音の中で人形の服作りをすごく真面目にこなしてる沙奈子を膝に抱いて寛いでた。これが今でも当たり前になってるのが嬉しい。


お互いに相手のぬくもりを感じて、相手の鼓動を感じて、そこに命があるっていうのを実感して、それを守らなきゃって思えるのかなって気がする。


だからってそこで性的な欲求みたいなのを匂わせると、やっぱり相手に警戒されたり不快にさせたりっていうのもあるんだろうな。


僕は元々そういう部分が欠落してるから意識しなくても相手にそれを感じさせないとしても、普通はちゃんと自制しないといけないのかもしれない。玲那が秋嶋あきしまさんたちと親しくできるのは、秋嶋さんたちがしっかり自制してるのが伝わってるからっていうのもあるのかな。


それと同時に、玲那は玲那で、ただ『男性だから』っていうだけで毛嫌いしないように気を遣ってるっていうのもある。双方が相手を気遣ってるっていうのが伝わるから、どちらかが一方的にただ気を遣ってるわけじゃないから、逆に気楽に付き合えるのかもしれない。


どちらかが一方的に気を遣うだけの関係って、きっと疲れると思う。僕の兄や両親と僕との関係がそうだった気がする。兄や両親は、僕に全く気を遣ってなかったのに、気を遣ってもらえてる印象はまったくなかったのに、ただ僕の方ばかりが兄や両親の機嫌を気にして合わせてたんだ。


もしかしたら兄や両親も、自分ではいくらかでも気を遣ってるつもりだったんだとしても、それは一切、僕には伝わってこなかった。伝わらない気遣いはしてないのと同じ気もする。


『気遣ってるつもり』って、便利な言葉だよね。


僕自身、ついつい使ってしまいがちな言葉だけど、それで済まそうと思わないように気を付けなくちゃ。


沙奈子や絵里奈や玲那に対して、


「僕がこんなに気遣ってるんだから、皆も僕に気を遣ってよ」


みたいなことを言わないようにしなくちゃ。沙奈子も絵里奈も玲那も、そんなこと言わなくたって僕がちゃんと伝わるようにしてたら分かってくれるし。


伝わるようにしてるはずなのに伝わらないんなら、それはもうお互いの相性が全く合わないってことのような気がする。


その辺りで僕たちはやっぱりうまく噛み合ってるのかもしれない。何度も思ってきたことだけど、さらにそれを改めて実感する。


合わせようと努力するのは大事でも、努力しても合わない相手と無理に一緒に居続けるのは逆に辛いことなんじゃないかな。



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