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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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七百二 結人編 「自身の行為を客観的に」

六月三日。日曜日。今日も朝から天気が良くて暑くなりそうな感じがした。


昼に千早ちはやちゃんたちが昼食を作りに来た時、星谷ひかりたにさんがまた赤い顔をしてた。昨日もまたあの旅館に行って一緒にお風呂に入った時に、大希ひろきくんに背中を流してもらったそうだ。


「だいぶ慣れたと思ってたんですが、やっぱり直接触れられると駄目ですね。腰が抜けてしまいました」


だって。可愛いなあ。


直接触れられたって言っても、タオルで背中を洗ってもらった時に少し手が触れただけらしいけどね。


こうやってそんな些細なことで気分良くなれるなら、それに越したことはないと思う。


でもそれだけじゃなくて、学校での結人ゆうとくんの様子についても話してもらった。


「千早やヒロ坊くんの話を聞く限りでは、相変わらずクラスに打ち解けてるとは言えないものの、目立ったトラブルを起こそうとするような様子も見られないそうです。


ただ、一部の女子によるアイドル扱いに対してはさすがに辟易しているらしいですが。


それでも、ひどく暴言を吐いたり暴力をふるったりという大きな問題行動は見られないようですね。あくまで『ちょっと可愛げのない愛想の悪い男子』といった風情だという印象を受けました」


「そうなんだ?。まあその程度なら別に普通にいる感じだろうから、そんなに気にしなくてもいい感じなのかな」


「ですね。やはり彼は本来、自ら他人に対して攻撃的になるタイプではなかったんでしょう。けれど、相手に攻撃的に出られると激しく反応してしまう感じでしょうか。わざわざ他人に対して攻撃的に振る舞うのはリスクの高い行為だと言わざるを得ないと改めて実感しました」


「それは僕もすごく感じる。自分から攻撃的に他人に向かっていってトラブルを起こす人の考えが理解できないよ。そんなことをして幸せになれるとでも思ってるのかな」


「どうなんでしょうか。ただ、私はかつてそういうタイプだったので、実は思い当たる節が無い訳じゃないんです。


私の場合は、自分では攻撃を仕掛けてるという意識はまるでありませんでした。自らは本当に正当な行為をしていると思っていただけなんです。間違ったことをしていたという認識なんてとてもとても。


結局、思い上がっていたんですね。単純にそれだけの話だったと思います。思い上がっているから自分のことが分からない。自身の行為を客観的に見られない。それはとても怖いことだと今なら分かるきがしますね」


「僕も、直接的には他人に対して攻撃的だった覚えはないけど、他人のことを下に見て、内心では罵ってたことは何度もあったよ。今では恥ずかしいと思うけど」



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