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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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六百六十四 結人編 「どこかにしわ寄せが」

四月二十四日。火曜日。昨日から夜の間降り続けた雨だったけど、朝には何とかやんだみたいだった。


朝は少し肌寒いくらいに涼しくて、沙奈子には上に一枚、パーカーを羽織ってもらうことにした。


もっともそれも昼頃には全く必要ない感じだったかな。


なぜか一部の女の子から人気でファンクラブまで作られてしまったという結人ゆうとくんだけど、本人はとにかく思いがけないそんな状況に戸惑ってるらしいと、学校での様子を千早ちはやちゃんや大希ひろきから学校での様子を聞いたという星谷ひかりたにさんから聞かされた。


僕も正直、そういうのは全く想像もしてなかったから、とにかく成り行きを見守るしかなさそうだと感じてるかな。




四月二十五日。水曜日。朝は微妙に肌寒い気がしたけど、天気は悪くない感じだった。


特に大きな問題はない。学校での結人くんの様子も、時々口が悪い感じだそうでも、誰かとトラブルを起こすような感じじゃなかったって、千早ちゃんと大希くんが言ってたと、やっぱり星谷さんが教えてくれた。


さらには、家に帰って寝る前に沙奈子にも聞いても、「普通」ってことだった。


『なんか、前にもあったな。こんなこと……』


この感じが何だか懐かしくて、思わず頬が緩んでしまう。以前にこうやって何度も聞いた千早ちゃんは今ではこの子の一番の友達の一人だ。


まったく。デジャヴって感じだよ。


あの時みたいにうまくいくかどうかは分からない。あまり楽観的になるのも危険かもしれなくても、何か危険な兆候があるって感じでもないらしい。結人くん自身は決してお行儀の良い真面目な子っていう印象はなくても、積極的に自分から誰かに攻撃的に関わろうとはしてないみたいだ。




四月二十六日。木曜日。今朝も何だか肌寒い。でも日差しは温かいから、たぶん、昼は暑いくらいになるだろうなって思ってたら、暑かった。


だけど夕方にはまた涼しくなってきたな。


何と言うか、特に触れなきゃいけないほどのことは何も起こらない。いたって平穏な様子だ。もちろんそれは結人くんがすごく良い子になってくれたっていう意味じゃない。相変わらず態度が悪いし、クラスの子達と打ち解けようとしてるわけでもない。


でも、僕には必ずしもそれが悪いことには思えないんだ。


大人から見てすごく都合のいい<良い子>っていうのは、僕はむしろ危険だと感じてる。子供って大人の思い通りにいかないのが普通だと思うんだ。大人とは感覚が違うから。見えてるもの感じてるものが違うのに、大人にとってすごくやりやすいってのは、子供の側が大人に合わせて『演技』をしてるんじゃないかなって気がして仕方ないんだ。


その分、どこかにしわ寄せがいってるんじゃないかな。



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