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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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六百五十九 織姫編 「鷲崎さんの遠慮」

沙奈子たちを見送った後、鷲崎さんは僕の部屋に来た。


「おはよ~!」


「おはようございます」


ビデオ通話の画面から、玲那と絵里奈が挨拶をしてくる。


「おはようございます」


鷲崎わしざきさんも丁寧に頭を下げて挨拶してくれた。知らない人から見たら僕が女性を家に上げたように見えるかもだけど、ちゃんとこうやって絵里奈や玲那もいるわけで、家族のいる時に向かえただけだ。


「今日の授業参観、楽しみですね」


仕事に行く用意を整えながら絵里奈がそう言うと、「はい!」と鷲崎さんも笑顔で応える。


「保護者懇談会も実はちょっと楽しみなんですよ」


と言う鷲崎さんに、玲那が「へ~、なんで?」とか聞いてきた。すると鷲崎さんは、


「今までの学校だと、PTAの委員とか決める時って何て言うかこう、厄介事の押し付け合いみたいなギスギスした感じがすごくあって、それかと思ったらなんかやけに積極的に引き受ける感じの保護者もいて、何とも言えない印象があったんですけど、先輩からいろいろ話を聞いて、今度の学校がどんななのか、興味があったんです」


って笑顔で。さらに、


「交通当番についても『どうですか?』ってさっそく、PTAの委員の人が来て聞いてきたから、『はい、やります!』って応えちゃいました。前のところではそういうのなかったんですよね。でもここだとみんなで見守るっていうのが積極的に行われてるって言うし、旗を持って子供たちに『いってらっしゃい!』って言うの、やってみたかったんです!」


だって。


「張り切ってるね~、織姫ちゃん」


玲那に言われて、鷲崎さんは照れくさそうに「てへへ♡」って笑ってた。本当に、絵里奈と玲那を合わせたみたいな印象があるな。彼女には。


「じゃあ、いってきます」


絵里奈が仕事に出ると、鷲崎さんも「いってらっしゃい!」って言ってくれた後、自分の部屋に戻っていった。僕の奥さんである絵里奈に遠慮して、彼女がいない時には部屋に上がるのを自粛してくれてるらしかった。


そういう点でも、絵里奈は鷲崎さんのことで心配はしてないらしい。だから僕も、そして鷲崎さんも、そんな絵里奈の信頼に応えなきゃっていう気持ちにもなれるんだよね。


まあそもそも、僕はそんなつもりもまったくないし、第一、玲那は常に家にいて、今日はそれこそ僕も家にいるってことで甘える気満々なんだ。


「にゃ~、久しぶりにお父さんと一緒にお留守番~♡」


まったく、本当に子供みたいだな。


でも、鷲崎さんも仕事の合間に、ビデオ通話で参加してくることになってるんだけどね。



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