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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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六百四十八 織姫編 「彼について尋ねる」

四月十日。火曜日。沙奈子が六年生になってから二日目。


今日から新一年生も一緒に通うことになる。沙奈子のところには四人の新一年生が来るらしい。だけど僕は別に心配してなかった。この子はちゃんとそういうのも気遣うことのできる子だから。


結人ゆうとくんについても、特に何か反抗的な様子を見せるでもなく、大人しく並んで歩いてたらしい。彼はやっぱり、自分からわざわざ攻撃的に振る舞うことはしないってことなんだろうな。


昨日、何気なく沙奈子に学校での結人くんの様子を聞いてみても、「普通だと思う」とのことだった。この子の言う「普通」は、たぶん、「特に問題なかった」という意味だろうなって思ってる。トラブルがあれば教えてくれるから、少なくともそういうのはなかったってことだと思うんだ。


もちろん、彼がいきなりクラスに溶け込んでみんなと仲良くやれてるだろうなとは思わない。ただ、沙奈子が気になるような大きなトラブルにはなってないんだろうなというのが察せられただけでも安心できる。


ただ、結人くんのことについては問題なかったけど、残念なことに、千早ちはやちゃんや大希ひろきくんとは別のクラスになってしまったそうだ。その一方で、結人くんとは同じクラスだった。だからその点ではいろいろ分かることがありそうだとも思ったりする。


これからも沙奈子に彼について尋ねることにはなるだろうな。千早ちはやちゃんの時のように。




四月十一日。水曜日。朝は天気が良かったように感じたけど、何となく風が強いからもしやと思ってたら、案の定、雨が降り出した。ただ、ずっと降り続くというよりは、降ったりやんだりって感じかな。


降る時は強く降ったりするんだけど、ぴたっとそれが止む時もある。何だか変な天気だと思った。


昨日も沙奈子に結人くんの様子を尋ねてみた。帰ってきた答えは、「普通」。それを聞いてホッとする。


今日も問題なく過ごせてるだろうか…?。


何かあれば沙奈子だけじゃなく千早ちゃんや大希くんだって山仁やまひとさんに話してくれるはずだ。そして山仁さんから僕に連絡が入ることになる。それがないということは大丈夫だってことだけどね。


仕事が終わって沙奈子を迎えに行った時も、千早ちゃんや大希くんにも変わった様子はなかったことでホッとする。


それから沙奈子と一緒にアパートに戻ると、「おかえりなさい!」と声を掛けられた。鷲崎さんが二階から手を振ってる。まさか僕たちが帰ってくるまで待っててくれたんだろうか?。


嬉しいけど、ちょっとやりすぎじゃないかなと思ったり思わなかったり。



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