表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
644/2601

六百四十四 織姫編 「なにかとアピール」

四月三日。火曜日。暖かい。と言うか、暑い。朝からもう、日が当たってるところにいると暑かった。なんだこれ?。ちょっと前まで寒かったのにこの変わりよう。極端だなあ。


鷲崎わしざきさんの仕事はイラストレーターだ。普段の仕事の多くは、広告のイラストを描いたりとか企業のイメージキャラクターを作ったりとからしい。その一方で、小説の挿絵なんかも描いてるって言ってた。しかもそこそこ売れっ子なんだって。


「え?、織姫って、あのデネブ宮国きゅぐにだったの!?」


って玲那が驚いてた。


僕はまったく知らなかったけど、アニメ化もされたことのある小説の挿絵のイラストを担当してたそうだ。


「てへへ、恥ずかしながら…」


そう言って鷲崎さんは照れくさそうに頭を掻いてた。


だから、基本的には在宅仕事で、会社には打ち合わせとかの時に出社するだけらしい。そんな理由もあって、朝に顔を合わせることはほとんどなさそうだった。


でも今日は、その打ち合わせがあるということで出社するそうだ。


「おはようございます。何だかすごく暖かいですね!」


僕が、沙奈子を山仁やまひとさんのところに送り届けてから出社するために二人で部屋を出ると、後ろから鷲崎さんがそう声を掛けて追いかけるみたいにして小走りで駆けてきた。服の上からでも激しく自己主張してるふくらみがゆさゆさ揺れてるのが、見ようとしなくても目に入ってしまう。だからとにかく顔を見るしかない感じだった。


「おはようございます。今日は会社ですか?」


「はい!。引越ししましたからあれこれ伝えないといけないこともありますし、仕事の打ち合わせもあって」


僕にそう話しかけてから、


「沙奈子ちゃん、おはよう。今日もお友達のところでお留守番なんだね?」


と沙奈子にも話し掛けてた。沙奈子はそれに黙って頷く。その様子を見る限り、警戒したりしてないのが分かった。でも、この子を良く知らない人が見たら愛想のない様子に見えるだろうな。だけど機嫌はいいんだ。鷲崎さんのことも嫌ったりとかしてない。


ただ、決して嫌ってはいないものの、ちょっと距離を置こうとしてるのは分かる。彼女が僕のことを好きで、なにかとアピールしてくることについては思うところがないわけでもないみたいだ。そんなわけで僕も、鷲崎さんとは節度を持って接しないといけないと思ってる。


それでも、彼女は、山仁さんのところまでわざわざついてきた上で僕と一緒にバスに乗った。


「こうして先輩と一緒に通勤できるとか、嬉しいです!。引っ越してきて良かった!」


だって。でも本当は、もっと遅い時間に出社しても良かったらしい。僕とこうして一緒にいたかったんだというのも、実は分かってたんだ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ