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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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六百四十一 織姫編 「夕食に招待」

鷲崎わしざきさんと結人ゆうとくんが七号室に入居して挨拶を交わした後、絵里奈や玲那と一緒に鈴虫寺の近くの喫茶店に行った。


「どうですか?、二人の様子は」


絵里奈がそんな風に聞いてくる。それに対して僕は穏やかに応えられた。


「うん。元気だし落ち着いてるみたいだよ。結人くんの怪我も、無理さえしなければもう大丈夫そうだ」


「そうですか、それは良かった」


と胸を撫で下ろす絵里奈に続いて玲那も、


「仲良くなれたらいいね」


って笑ってた。


「うん。本当だね」




二人と別れてから山仁さんのところに行って鷲崎さんと結人くんが無事に入居を済ませたことを報告して、特にそれ以上話さないといけないこともなかったからすぐにアパートに帰って、沙奈子と一緒に夕食の用意を始めた。


その時、沙奈子にお願いする。


「沙奈子、ハンバーグ、余分に二つ作ってくれるかな?」


そう、今日の夕食はハンバーグだ。そして、いつもより余分に作る。突然の僕の申し出にも、沙奈子は当たり前みたいに頷いてくれた。絵里奈と玲那に会った帰りにスーパーに寄っていつもの倍の量の挽肉を買った時からもう察していたのかもしれない。


僕が、鷲崎さんと結人くんを夕食に招待しようとしてるってことを。


この子は、そういうところ察しがいいからね。


でもぜんぜん嫌がるどころか楽しそうに四人分のハンバーグを作ってくれた。沙奈子にとっては、絵里奈や玲那と一緒に暮らすようになった時のための予行演習なのかもしれない。


そしてハンバーグが出来上がる直前、僕は鷲崎さんに電話を掛けた。


「結人君、ハンバーグは好きかな?」


「はい」と彼女が電話に出てすぐ、そう尋ねると、


「はい、割と好きな方だと思います」


って、いきなりの質問にちょっと戸惑ったみたいな感じで応えたくれた。だから僕も、


「それは良かった。実は沙奈子が手作りハンバーグを作ったんだ。それで二人にもどうかと思って」


と、鷲崎さんと結人くんを夕食に招待させてもらったんだ。お近付きのしるしってことかな。


すると鷲崎さんも、


「いいんですか!?。じゃあ、伺います!、行きます!、お伺いします!、ありがとうございます!!」


って感じですごくテンションが上がってた。


それが何だか微笑ましくて、頬が緩んでしまう。


「こっちはもうすぐ用意が終わるから、いつでも来てくれていいよ。沙奈子のハンバーグは美味しいと思うんだ。二人の口に合うといいけど」


もっとも謙遜するべきかなとも思いつつ、つい惚気てしまった。だけど、沙奈子のハンバーグは本当に美味しいんだよね。



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