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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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六百三十七 織姫編 「納得の結末」

結人ゆうとくんの件については、星谷ひかりたにさんが動いてくれたこともあって、何だかほぼ解決してしまったらしい。学校に対しても、間に弁護士に入ってもらって対応して、警察に傷害事件として捜査してもらうことにしたそうだ。


もっとも、これはもう少し後になってからの話なんだけど、警察も、双方に事情を訊いた上で、宿角健侍すくすみけんじくんを傷害の非行事実で家庭裁判所送致にして、後は家庭裁判所の方で対応することになったんだとか。


たぶん今回の件については、宿角健侍くんを引き取ることになった親戚が今後責任をもって指導監督していくという形にすることで決着が付くんだと思う。


結果としては、最初に僕たちが心配していたほどは大きな騒ぎにもならず、むしろすんなりと終わったかもしれない。結人くん側からすれば。


宿角健侍くんにとっては親戚に引き取られた上で更生を計るというわけだから、むしろこれからが大変かもしれないけどね。


きちんと警察にも関わってもらって、家庭裁判所も通して、それなりに審判したんだから、鷲崎わしざきさんとしても『犯罪行為を隠蔽した』ことにはならなくて納得の結末になったみたいだ。


そして三月三十日。金曜日。鷲崎さんが先にこのアパートの七号室に引っ越してくることになった。と言っても昼間にささっと済ませることになるし、結人くんの退院は明日だそうで、実際に住み始めるのはそれからになるんだって。だから顔を合わせるのは明日以降になる。


少し天気も悪くて風も強かったけど、雨までは降らなくて引っ越しそのものはスムーズに終わったそうだった。


「残念です~。早く先輩にご挨拶に行きたいのに~」


仕事を終えて山仁さんのところに沙奈子を迎えに行って、いつものように会合に顔を出した時、鷲崎さんもビデオ通話で参加してきてそんなことを言ってた。


もちろん、今回のことで星谷さんとかにいろいろお世話になったことのお礼を言った後だけどね。


でも星谷さん自身は、


「私は今回、ほとんど何もしていません。弁護士を紹介しただけで。鷲崎さんが毅然とした態度で臨んだことが功を奏したのだと思います」


とか言ってたり。


ただ、実際には、『宿角健侍くんの親戚』という人が色々動いてくれていたことが大きかったらしいというのも後で分かった。だけどそれは、決して事件をうやむやにしようとしたわけじゃなくて、むしろ警察にも積極的に協力して、家庭裁判所にも出向いて、宿角健侍くん自身の家庭環境を改善することを約束したことでスムーズに進んだそうだった。



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