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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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六百十八 織姫編 「家庭で何が」

人形の展示会をゆっくりと楽しんで、それから喫茶店でお茶にして、僕たちはゆっくりと時間を過ごした。昼食は展示会に入る前に早めに済ましておいたから、ケーキとかで夕食までもたそうということだ。


こうやって幸せな時間を過ごせるということが本当にありがたい。大変なことはたくさんあっても家族が仲良くいられてるというのが何よりだと、四人ともかつてそういう家族を持ってなかったからこそ思う。


だからこそ、波多野さんや田上たのうえさんや結人ゆうとくんのことも思い出してしまう。


結人くんには今は鷲崎わしざきさんがいてくれるとは言っても、彼はまだ完全には打ち解けられていないようだし。


また、同時に、彼に突っかかってくるという同級生の子のことも気になるんだ。確か、宿角健侍すくすみけんじくんって言ってたかな。同じ苗字の人が、以前、子供に対する虐待で逮捕されたりもして、珍しい苗字だから何か関係があるのかもという話もあったりしたっけ。


それについてはあまり詮索しないことにしたけど、どうしてもそうやって他人に突っかからずにいられないとなると家族関係や家庭環境になにか問題があるのかもと思ってしまうんだ。


自分が、両親のことが好きじゃなくて別に迷惑なんか掛けてもきっと何とも思わないと感じてたからこそ、そして今、家族に迷惑を掛けないため苦しめないために他人と諍いを起こしたくないと思うからこそ、そう考えてしまうんだけどね。


他の同級生の子を叩いて学校から指導を受けたということは、きっと保護者にも連絡とかが行ったんじゃないかな。そんな形で迷惑を掛けてしまうことなんて、家族が大切だったらしたくない気がするんだ。


そうやって家族に迷惑を掛けてもいい、掛けても仕方ないと思ってしまってることが一番問題なんだって感じるんだ。


沙奈子も玲那もそんなことしたくないと思ってくれてるのに。


その子の家庭で何が起こっているんだろう……。


学校は、家庭の問題にまでは関われないだろうな。いくらその子を指導しても、家庭に問題があったら根本の原因に対処できない。千早ちはやちゃんのケースだってそうだった。お姉さんの千歳ちとせさんや千晶ちあきさんの時には、学校で大きな問題を起こさせないようにするしかできなくて、家庭の問題にまでは手を出せなかった。だから千早ちゃんはお母さんやお姉さんたちから殴られ蹴られ続けた。


そこに星谷ひかりたにさんが関わって、千早ちゃんのお姉さん代わりになることで彼女を安心させてあげたから、大希ひろきくんの優しさも活きて、沙奈子との関係が良くなっていったんだって今なら分かる。


子供が荒れる原因って、つくづく家庭にあるんだなって思い知らされるんだ。





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