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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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六百十三 織姫編 「引っ越しって」

三月二日。金曜日。昨日からなんだか急に暖かくなった気がする。三月に入ったわけだし、このまま暖かくなってくれるんだろうか。それとも寒の戻りっていうのがあったりするんだろうか。


結人ゆうとくんの転校の件は、鷲崎わしざきさんも真剣に考えてるみたいだった。学校側の対応はやっぱり期待できないらしいし。


「やっぱり、六年生に進級する段階で転校するのがいいんでしょうか?」


夜、ビデオ通話で話をしてた時、そんな風に聞いてもきた。


「どうかな。だけど、進級に合わせてってなったら、もういろいろ準備を始めないといけないんじゃないかな」


「ですよね~。ただ、さすがに引っ越しもとなるとどうしても二の足踏んでしまいます。私、どっちかと言うと一つ所に腰を落ち着けてなるべく動きたくないタイプだし」


「あ、それ、僕も同じかもしれない。引っ越しってすごくエネルギーを使う気がするよね」


僕がそう言うと、絵里奈も「分かります~」と頷いてた。


玲那は、


「引っ越しですっきりするのも気分いいと思うけどなあ」


とは言ってたけどね。


ただ、それはそれとしても、やっぱり一番気にしなきゃいけないのは結人くんのことじゃないかな。だから僕は言ってた。


「でも、そのクラスメイトの子とのいざこざがエスカレートするようなら、大事おおごとになる前に決断した方がいいと思うんだ」


ってね。




三月三日。土曜日。今日もやっぱりなんだか暖かい。だからあの喫茶店に行くことになった。


寒くないからちょうどいいかなと思ったら、少し歩いただけで暑いくらいだった。


「急に暖かくなりましたね」


絵里奈がそう話しかけてくる。


「まったくだ。ちょっと極端って気もするよ」


ちょうど信号待ちで止まったところで、玲那が、


「こういう時ってまた急に寒くなったりするんじゃない?。焦って冬物片付けたり暖房器具しまったりすると痛い目見そう」


だって。それも分かる気がする。


「だよね。もうちょっと様子を見た方がいいかもしれない」


「ですよね~」


なんてやり取りをしてる間にいつものお茶屋さんに着いてそこでまたとろろ蕎麦をいただいて、のんびりと歩いて喫茶店の方へと行った。


そこでは紅茶とケーキをいただいて四人で寛ぐ。


暖かくなったからかお客さんも割と来ていて、あまり長居すると迷惑かなと思ったから今日は早々に店を出た。そこからは川沿いをゆっくり歩いてアパートの方へと向かう。


ついでにスーパーに寄って買い物も済ます。いつもの大型スーパーじゃなかったから勝手が分からずちょっと戸惑いつつも、無事に買い物も終えられて僕たちはまたのんびりと歩いたのだった。



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