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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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六百八 織姫編 「罰ゲーム」

お風呂から上げって、僕たちは三人でコタツに入って家族の一時ひとときを味わってた。


沙奈子を膝に抱いて、絵里奈が隣にいて。


午後の勉強をしてる沙奈子の姿を、絵里奈が優しい顔で見守ってくれてる。それが本当に嬉しい。


『家族だから大切』なんじゃない。玲那も合わせた僕たち四人が、それぞれ家族を大切にしたいと思ってるから『大切にしたい家族』でいられてるんだと思う。自分だけが一方的に大切にしてもらえることを期待してないから。


小さい子供のうちは、もちろん力も弱いし未熟で分かってないことも多いから一方的に守られてて当然だと思うけど、やっぱり、それなりの年齢になると自分から家族を大切にしようという姿勢を見せることも大切なんだろうなって感じる。


だけど、最初の時点で、『こんな家族なんて大切にできない』って思われてしまったら、誰かが一人で頑張ってもダメなんじゃないかなっていうのも思うんだ。


ここで、よくテレビとかで悩み相談みたいなことをしてる人達がよく言うのが、


『家族だから大切にするのが当たり前』


っていう話。


だけどそれ、そもそも『素直に大切にしたいと思えない家族にしてしまったのは誰?』っていう大事なところを無視してるとしか思えないんだ。そして、小さな子供が自分でそんな風にしてしまえるはずないよね。と言うか、もしそんなことを言う大人がいたら、子供相手になに情けないこと言ってるんだよとしか思えない。自分の何分の一も生きてない子供のすることに振り回される大人とか、それまでの人生、何を見て何を学んで生きてきたんだよって思ってしまう。


自分自身が子供だった頃を過ぎて、その上で更にいろんなことを経験してきてるはずなのに、その経験はどこに行ってしまったんだよって。


子供に、『お父さんとお母さんの子供に生まれてきて良かった』って思わせてあげられない大人なんて、一体、それまで積み重ねてきたものは何だったんだって。


ああでも、僕が今そんな風に思えるのは、たくさんの人に助けられたからだっていうのも間違いないんだ。もしそれがなければ、僕も、何をどうしていいのか全く分からなくて、沙奈子を苦しめてしまってたと思う。この子にとっての『大切にしたい家族』でいられなかったと思う。


本来はきっと、僕の両親がそういうのを僕に伝えるべきだったんだろうな。


だって、他人には、そんなことをしなきゃならない理由もないから。自分の子供でもない子にそんなことをしなきゃならない義務もないから。


だけど親には、子供をこの世に送り出してしまった責任がある。


その責任を忘れてしまった、放棄してしまった親を、それでも大切にしなきゃいけないなんて、それ何て罰ゲームなんだろう……?。



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